研究課題/領域番号 |
21K10327
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小比賀 美香子 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (00610924)
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研究分担者 |
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (50392345)
松本 洋 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (20423329)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ビジュアルアート教育 |
研究実績の概要 |
本邦初ビジュアルアート教育を2016年末より500名以上の医学生に実施してきた。授業は、1)デッサン、2)県立美術館ワーク、3)アートプレゼンの3部構成である。本研究では、「ビジュアルアート教育」を受けた医学生に対する教育効果について、経時的に量的および質的研究手法にて詳細に明らかにする。 臨床実習でビジュアルアート教育を受けた医学科4-5年生121名を対象に質問紙調査を行った。質問紙は、多次元共感性尺度、価値志向性尺度の「審美」に加えて、医療者への芸術教育の有用性を問う項目、書道作品を提示し一般の選好性を予想する項目等で構成した。ビジュアルアート教育の前・後・1か月後の3時点で質問紙を配布し、結果を分析した。ビジュアルアート教育を通して、“他者視点取得”と“審美性”が上昇し、この変化は1か月後も維持された。また、両者の変化は相関した。実践前から“審美性”と“他者視点取得”は相関するが、実践前後の変化との比較から、対話を多用する教育コンテンツの有用性が示唆された。“被影響性”は、ビジュアルアート教育を経験した後に臨床実習を経ることによって低下する可能性が示唆された。潜在的に多様な意見理解を評価する目的で作成した書道課題は、ビジュアルアート教育を通して、多様な意見を認める方向に変化した。学生に対して、または医師に対しての教育に芸術を取り入れることの有用性は、ビジュアルアート教育を通してより強化された。 また、2018年5月~2022年1月の医学科4-5年生450名の、3)アートプレゼンでの選択作品と感想について、作品名、作者、テーマ(意図)の種類と頻度について調査した。選択作品は、250作品以上に上り、テーマは、医療の姿勢、生と死、感染症、医学歴史、人間の内面や生き方、その他(社会問題、美、技法、現代アート等)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍で中止期間があったものの、岡山大学病院形成外科で臨床実習する岡山大学医学部4-5年生対象に、順調にビジュアルアート教育を実施し、アンケートによるデータ収集を行っている。フォーカス・グループに関しては、まだ実施できていない。2021年度に引き続き、2022年度も、研究成果について学会発表を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ビジュアルアート教育参加者が増えていくため、参加者数を増やして解析を続けていく予定である。解析結果については、今年度も学会発表予定で、これまでの研究成果については、論文執筆中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響や、研究の進捗状況の影響などにより、出張が中止になるなどの理由で、次年度使用額が生じた。今後は、頻回の学会発表や、論文発表などに使用予定である。
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