研究課題
医療の質の評価指標であるQuality Indicator(QI)は、脳卒中領域においても適切な医療提供体制の再構築のために活用されているが、医療の進化とともにその質の評価も変化することが予想される。そのためQIの妥当性は適宜行われる必要があるとともに持続的に評価できる仕組みとしてデータベースの構築が欠かせない。われわれは2007年より急性期脳卒中の登録事業を行い、脳卒中診療におけるエビデンスの構築ならびに医療の質の向上に寄与してきた。本研究では、大規模脳卒中登録研究を電子カルテ情報やDPC情報と突合させたデータベースを構築することで、持続的な医療の質の評価とその妥当性の評価を実現させることを目的とし、脳卒中診療における持続的な医療の質の改善とともに、脳卒中診療の最適化をめざしている。大規模脳卒中登録研究である、福岡脳卒中データベース研究は、福岡県下の7つの脳卒中専門医療機関で共同で行っている前向き登録研究である。本年度は、福岡脳卒中データベースのデータ整備を行った。データベースには急性期脳卒中患者17074名が登録されている。登録患者のデータ収集は、専門の臨床研究コーディネーターにより入力項目を標準化したうえで行った。予後の追跡情報は、脳卒中の予後調査に関して専門的な知識を有する臨床研究コーディネーターにより情報収集しており、追跡率は89%に及んでいる。現在、用いられているQIの項目についてデータのクレンジングを行い、今後の解析に向けて準備を行っている。
2: おおむね順調に進展している
福岡脳卒中データベース研究における患者登録は2007年6月から2019年9月末までを対象として実施し、データを固定した。また、脳卒中専門の知識を有する臨床試験コーディネーターとともにデータクレンジング、追跡予後情報の追加収集、イベント評価委員会によるイベント判定を継続的に行った。妥当性のあるQI項目についてデータの整備を行うとともに、適切な研究デザイン、研究方法について検証している。データ分析を行うための、データの質の担保ならびに適切な研究方法について吟味を重ねており、順調な経過であると考えられる。
臨床データはすでに収集できてはいるが、現時点でもさらなるデータの質の向上のためにクレンジングをおこなっており、引き続き継続する。次にQOLの測定の評価を行うとともに、各医療機関における電子カルテ情報ならびにDPCデータとの突合により、詳細な情報を入手する。
年度末に開催される日本脳卒中学会学術総会に関連研究課題を発表し意見交換をおこなう予定であったが、データのクレンジングに伴い作業に時間を要し、研究成果を次年度の学術総会において発表することとなったため、次年度使用額として計上することとした。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
Stroke
巻: 53 ページ: 70-78
10.1161/STROKEAHA.120.033751
Neurol Clin Pract.
巻: 11 ページ: e809-e816
10.1212/CPJ.0000000000001087
J Am Heart Assoc.
巻: 10 ページ: e021853
10.1161/JAHA.121.021853
J Neurointerv Surg.
巻: neurintsurg-2021-017837 ページ: -
10.1136/neurintsurg-2021-017837
巻: 52 ページ: 2621-2628
10.1161/STROKEAHA.120.031392