研究課題
近年、疫学研究の進歩とともにエビデンスを構築するだけでなく、エビデンスの実践によるアウトカム評価を行う、医療の質研究が行われている。医療の質の測定により実臨床で行われている医療のみならず臨床への還元の可視化が期待できる。医療の質の評価指標であるQuality Indicator(QI)は、脳卒中領域においても適切な医療提供体制の再構築のために活用されているが、医療の進化とともにその質の評価も変化することが予想される。そのため、持続的に適宜測定可能な仕組みが欠かせない。われわれは2007年より急性期脳卒中の登録事業を行い、脳卒中診療におけるエビデンスの構築に寄与してきた。本研究では、大規模脳卒中登録研究を電子カルテ情報やDPC情報と突合させたデータベースを構築することで、持続的な医療の質の評価とその妥当性の評価を実現させることを目的とし、脳卒中診療における持続的な医療の質の改善とともに、脳卒中診療の最適化をめざしている。大規模脳卒中登録研究である、福岡脳卒中データベース研究は、福岡県下の7つの脳卒中専門医療機関で共同で行っている前向き登録研究である。本年度は、昨年度に引き続き、福岡脳卒中データベースのデータ整備を行った。データベースには急性期脳卒中患者17074名が登録されている。登録患者のデータ収集は、専門の臨床研究コーディネーターにより入力項目を標準化したうえで行い、予後の追跡情報は、脳卒中の予後調査に関して専門的な知識を有する臨床研究コーディネーターにより情報収集している。予後情報については、イベント評価委員会によるイベント判定も行った。現在、用いられているQIの項目についてデータのクレンジングを終了し、解析を開始した。
2: おおむね順調に進展している
データ分析を行うために、データの質の担保を徹底的に行った。また現行のQIだけでなく、新たなQI項目の必要性について、現場の診療に携わる医療者ならびに医療の質の専門家から意見を聴取するとともに適切な研究デザイン、研究方法についても検証している。一部解析を開始しており、順調な経過であると考えられる。
臨床データはすでに収集できてはいるが、さらなるデータの質の向上のためにデータクレンジングを継続して行ってきた。QIの測定の評価ならびに新規QI項目の選定を行うとともに、QOLの評価、各医療機関における電子カルテ情報ならびにDPCデータとの突合により、詳細な情報を入手して分析を実施する。
年度末に開催される日本脳卒中学会学術総会に関連研究課題を発表し意見交換をおこなう予定であったが、データのクレンジングならびにデータ分析に時間を要しており、十分な意見交換にはいたらなかったため、次年度使用額として計上することとした。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件)
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