研究課題/領域番号 |
21K10340
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研究機関 | 吉備国際大学 |
研究代表者 |
井上 優 吉備国際大学, 保健福祉研究所, 準研究員 (90726697)
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研究分担者 |
田中 亮 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50454880)
戸田 晴貴 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 産総研特別研究員 (70828665)
田中 繁治 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (50817666)
加藤 剛平 東京保健医療専門職大学, リハビリテーション学部, 講師 (60465820)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | フレイル / 社会関連活動 / ICT / 地域在住高齢者 |
研究実績の概要 |
本課題では,地域在住高齢者が非対面式の支援プログラムでも,フレイル発生の予防が可能か検証することを目的としている.初年度は主に3点の取り組みについて計画した. まず新型コロナウィルス感染症対策として,緊急事態宣言やまん延防止等重点が示された影響を把握するために,地域在住高齢者を対象としたアンケート調査を実施した.次にフレイル発生に関連しうる身体機能を把握する方法を検証する基礎実験を実施した.3つ目に地域住民の社会関連活動に関するシステマティックレビューを行った. 通いの場に参加していた地域住民の社会関連活動や,他者との関係性がどのような影響を受けているのか,A市の通いの場に参加していた地域住民を対象としたアンケート調査により把握した.111名の回答が得られ,9割の人が通いの場の重要性を感じていた.A市では緊急事態宣言により通いの場は一時的に中止されたため,運動や外出機会を喪失し,約半数の人が何らかの体の変化を感じていた.通いの場中止中に何らかの方法で仲間とコミュニケーションをとっていた人は,中止による体への影響がないと答えた人の割合が有意に高かった.また,コミュニケーションをとっていた人はICTの利用を今後も希望する割合が高かった. ICT機器を用いて身体機能を把握するための基礎実験として,市販のスマートウォッチから得た情報と3次元動作解析結果との比較を実施した.被験者の歩行パターンによる影響もあるが,機種によって時空間的パラメータの結果が異なっていた. 地域住民を対象とした社会関連活動に関するシステマティックレビューは現在進行中であり,次年度以降に実施する取り組みの費用対効果を検証する上で必要な情報を集約できるように,身体活動量やEuroQOLを含めた先行研究に関して精査を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
地域住民を対象としたアンケートや支援に携わっている関係者からのヒアリングから,ICTに触れることに抵抗感がある人への支援方法が,当初の想定よりも細やかな工夫や配慮を必要とする可能性が示唆されている.そのような人にも導入可能なツールについて再考が必要なため上記区分と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
次年度には,現在進めているシステマティックレビューを完了させ,関連雑誌への投稿を予定している. スマートウォッチなどのICT機器による計測は,被験者を増やして検証を進め,その結果を基に身体機能や運動状況の把握が可能なアルゴリズムを検証する. また複数のエリアで,地域在住高齢者を対象としたアンケート調査を実施し,社会関連活動や身体活動量,健康関連QOLに関する実態を把握し,次年度以降の費用対効果検証に関する基礎情報を取得する.新型コロナウィルス感染症の対策の一部として,通いの場が中止される可能性もあることから,運営者や地域の保健師との連絡会を定期的に持ち,状況把握に努める.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症対策として実施された,緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により,地在住高齢者が参加していた通いの場が,当初の想定よりも長く休止状態となった.そのため初年度に準備を予定していたICT機器の購入の延期,研究説明会などを中止しため,繰越金が発生した. 次年度は,地域在住高齢者を対象にICT機器を利用した計測を予定しているため,それらの計測実験に必要な備品の購入や研究説明や経過観察に必要な出張旅費として,繰越金を含めて使用する予定である.
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