研究課題/領域番号 |
21K10347
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野島 正寛 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00457699)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 特定健診 / 特定保健指導 / 行動変容ステージ |
研究実績の概要 |
当科研費取得を受け、予定していた厚生労働省NDBデータベースのデータ利用申請を行った。概ね計画書記載通りの申請を行っており、2021年7月9日付で意見付承認(修正は不要)との通知を受けた。その後、データ取得のための手続きを継続しており、実質的には待機の状態となっているが、コロナ禍等の影響のため同省もしくは業務委託機関での手続きが長期化しているとの報告を受けており、年度末の段階でもデータ未取得の状態となっている。2022年度半ばでのデータ取得が期待される状況となっている。一方で、2021年の時点で実施可能な研究を進めており、特定健診・保健指導に関する公開データ(集計表)から都道府県別の実施状況や実施結果の把握を行った。公開されている2008-2015年度の特定健診の実施率は全国的に「東高西低」、特定保健指導の実施率は「西高東低」となっていた。特に、一都三県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)における特定保健指導の実施率は、全国的に20-25%であるのに対しいずれも15%前後と極めて低かった。また、神奈川県立保健福祉大学イノベーション政策研究センターとの共同研究開始し、神奈川県の国保データベース(KDB)から抽出された特定健診に関するデータを分析している。解析対象となるデータ数は2016-2018年度の特定健診を継続受診している約110万と膨大であり、その後のデータクリーニングに多くの時間を要している。現在、既報(Takadaら、J Epidemiol 2022)に基づき、生活習慣の改善意欲を示す行動変容ステージ(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)で群分けを行い、各健診項目の経年変化等の比較検討などを行っている。上記既報では、無関心期にある群と比較して、準備期、実行期、維持期にある群は腎機能低下のリスクが低いことが報告されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当科研費取得を受け、予定していた厚生労働省NDBデータベースのデータ利用申請を行った。概ね計画書記載通りの申請を行っており、2021年7月9日付で意見付承認(修正は不要)との通知を受けた。その後、データ取得のための手続きを継続しており、実質的には待機の状態となっているが、コロナ禍等の影響のため同省もしくは業務委託機関での手続きが長期化しているとの報告を受けており、年度末の段階でもデータ未取得の状態となっている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年中頃までにKDBデータの評価を完了する予定である。行動変容ステージ(無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期)で群分けして各健診項目の経年変化を比較分析した後、マルチレベルモデル(Multilevel model; MLM)/混合モデルを用いて各群における保健指導の効果を評価し、パラメータによる調整などを行う。厚生労働省NDBデータ受領後は、明らかな誤記の修正(変更履歴を残す)や研究対象症例の確定等のデータクリーニング、項目のカテゴリ化を行い、各項目から誘導する変数の検討を行う予定である。その後データセットを固定し、特定健診対象集団の特性の分析を行う。さらに、保健指導の対象集団を部分集団に分けて各部分集団の特性を分析、行動変容ステージの変化と関連する要因の推定、行動変容ステージの経年分析を行う予定である。また、昨年度と同様に、先行研究調査を継続し、文献データベースではキーワードや著者名を元に検索するのみならず、前述の主要文献を引用した新しい文献を逆引きするなどの調査も行い、加えて、インターネットの検索エンジンで、研究者による新たな一般向けの記事やブログなども追跡していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実績にも記載した通り、厚生労働省もしくは業務委託機関内での手続きが遅延しており、年度末の段階で予定していたデータ受領が完了していない。そのため、予算の大きな部分を占める手数料の支払いが行われておらず、次年度使用額が生じている。
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