研究課題/領域番号 |
21K10352
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
永田 高志 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (90501809)
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研究分担者 |
長谷川 有史 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (70404879)
安部 猛 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 助教 (80621375)
菊川 誠 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60378205)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 原子力災害 / リスクコミュニケーション / コロナ感染症 |
研究実績の概要 |
原子力災害時の医療活動に関連する効果的なリスク・コミュニケーションおよびクライシス・コミュニケーションについての知見は得られていない。そこで、東日本大震災の原子力災害時に職員の確保が出来なかった福島県内の医療機関の当時の職員に聞き取り調査を行い、職員の継続勤務の継続に関連するリスクおよびクライシス・コミュニケーションの要因を明らかにする。 医療コミュニケーション領域の研究によれば、医療情報は読み易さ(readability)よりも内容を咀嚼できること・情報の値踏みができること (evaluability)がその後の行動変容にとって重要であることが示唆されている。具体的な原子力災害時における医療者の行動に着目し、evaluabilityの視点から評価したリスク・コ ミュニケーションやクライシス・コミュニケーションとの関係を検討する。研究課題の核心をなす学術的な問いは「危機事象発生時の医療者の勤務行動に影響する特定のリスク・コミ ュニケーションやクライシス・コミュニケーション類型はあるのか?あるとすればそれは evaluabilityの有無か?」を検討することである。 対象は東日本大震災発生後の2011年3月11日から2011年3月20日の間に、福島県内の医療機関等(福島県立医科大学、南相馬市立総合病院、双葉病院、いわき市医師会、 福島赤十字病院、福島労災病院、等)に勤務していた医療スタッフ(医師、看護師、事務職、 メディカルスタッフ、一般職員)である。関係者との事前打ち合わせの結果を踏まえ、サンプル数としてのインタビュー参加者は各施設から10-20名、合計100名を想定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は2011年3月の福島県原子力災害に関する避難行動について病院職員からオンラインでのインタビューを予定していた。10年以上前の状況について正確な記憶が得られない見込みであり、必要なサンプルが得られない可能性が挙げられた。 また、原子力災害に対する恐怖心と2021年時点で直面しているコロナ感染症には共通点があると思われ、原子力災害と感染症の共通の恐怖の中での医療従事者としてのあり方についてアンケートで調査する方が新規性があり、かつ、回答者からの回答も得られやすいと考えられた。そのため研究計画を一部修正する必要が発生し、研究の進捗が予定より遅れることとなった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は先行知見を踏まえて、原子力災害とコロナ感染症に見られる共通する課題(恐怖心、リスクコミュニケーション、医療従事者としての行動等)を踏まえたアンケート表を作成し、合わせて倫理審査の準備を行う。 アンケートは回答者の負担を考慮し、オンラインでの実施を考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度において分担研究者の追加、物品の購入が必要となったため研究費を繰越した。
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