川崎ウェルビーイングプロジェクト(KAWP)のベースライン調査のデータを用いて多疾患併存と主観的健康観(SRH; Self rated Health)と人生満足度(Statisfaction with Life Scale)との関連を調査した。疾患数が多いほど主観的健康が損なわれるが、人生満足度とは相関しないことが示された。次に、多疾患併存患者におけるケアの分断の影響を検討した。多疾患併存を抱える超高齢患者において、多くの主治医がいる状態(ポリドクター)が予後に与える影響を検討した。まず、ポリドクターの指標として定期的に通院している医療機関数をレセプトデータ上から計算する尺度Regularly Visited Facilitiy(RVF)を開発した。RVFは外来医療費やポリファーマシーと関連することが示された。次にRVFが多い状態が、患者の死亡率に影響を与えるかどうか検討した。疾患併存数が中等度(2〜4疾患)の場合には、通院医療機関が多いと死亡率が低下する傾向が見られたが、重度の多疾患併存(5疾患以上)状態だとRVFと死亡率に相関が見られなかった。このことより、患者の疾患併存数のによりポリドクターが予後に与える可能性が異なることが示唆された。
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