研究実績の概要 |
前年度に引き続き、IVR室内の空間線量分布をPHITSによるシミュレーションにより算出した。これまでのシミュレーション結果から比較的分布形状の差異が認識できる条件を考慮し、寝台の上に仰臥位になるように配置した人体ボクセルファントムの位置(寝台位置)を正中から横方向に0cm,±20cm、または縦方向(頭足方向)に0cm,±20cm,±40cm,±60cm,±80cm変化、ならびにX線管の管球角度(鉛直上向を 0°)を0°,±45°,±90°変化させた場合の2次元空間線量分布データの表示を試みた。さらに、寝台の位置ならびにX線管の管球角度の情報を入力することで、入力した条件に対応する空間線量分布図と3Dジオメトリを同時にモニタへ表示するシステムを excel visual basic for applications (Excel VBA) を用いて構築した。この表示システムは2条件を入力することで条件の異なる2種類の空間線量分布図・3Dジオメトリを同時に表示することもできるため、条件の違いによる散乱線の分布形状の違いを比較することができ、視覚的にわかりやすいと推察されたため結果を報告した。 表示方法について、PHITSでは3次元の空間線量分布データの収集も可能であるため、3次元でのデータ集結果をもとに、3Dソフトウェア Paraview により3次元表示を試みた。 本研究を遂行するにあたり、散乱線の可視化と散乱線発生源の特定は放射線防護策を講じる上で大変重要である。そこで、増感紙の発光を応用したX線の可視化、ならびにピンホールカメラによる散乱線の可視化を試みた。この散乱線の可視化は研究分担者が担当し、結果を報告した。
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