研究課題/領域番号 |
21K10367
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
石井 正 東北大学, 大学病院, 教授 (00650657)
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研究分担者 |
市川 学 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (60553873)
植田 琢也 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40361448)
押谷 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80419994)
赤石 哲也 東北大学, 医学系研究科, 助教 (80833904)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COVID-19 / mild COVID-19 / post COVID-19 condition / COVID-19 risk factor / COVID-19 prognosis |
研究実績の概要 |
令和3年度において実施した研究については、概ね交付申請書内の「研究方法・計画」に記載の通りの進捗となった。具体的には、宮城県内におけるCOVID-19宿泊療養施設一ヶ所(無症状者、軽症者を対象)で療養を行なった患者の療養時の記録(全て紙面情報、宮城県庁に保管)を、個人情報を扱うために本研究専用としたパソコンにデータベースとするべく記録し直した。登録された患者は2020年12月から2021年3月までで、計945人と当初の計画よりも順調に進行したため大幅に患者数を増やすことができた。個人を特定できる個人情報については、パスワードをかけたパソコンおよびファイル内にのみ格納しており、実際に解析を行うデータベースでは個人を特定できない形で扱っている。 得られたデータは患者の基本情報(年齢、性別、基礎疾患、常用薬、COVID-19発症日、検査日、療養施設入所日・退所日、入院の有無等)および療養施設内での毎日の症状変化(体温、脈拍数、酸素飽和度、咳、痰、呼吸苦、胸痛、倦怠感、下痢、嘔気嘔吐、頭痛、鼻汁鼻閉、咽頭痛、筋肉関節痛、味覚嗅覚障害、食欲、不安感、不眠等)を10点満点のスケールで示したものである。また、東北大学病院総合診療科において往診を実施し、行われた検査や処方した薬剤、担当医の診察評価のデータも得られた。これらのデータは非常に詳細かつ信頼性が高く、入院患者以外の患者情報としては他に類を見ない貴重なデータであると思われる。 これらの得られたデータから重症化リスクの高い療養者のトリアージ基準の策定や、症状が遷延するリスクの高い患者の同定を試みる。前者については、機械学習を応用した解析を実施中で、令和4年度前半には解析がまとまる見込みである。後者については、さまざまな因子の相互関係を考慮して実施しており、適切な統計解析によってこちらも令和4年度前半には解析がまとまる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、概ね予定通りの進捗状況である。より多くの療養者からデータを得て正確性および信頼性の高い解析を行うため、順調に療養者登録が進んだことから研究計画段階の300人の予定から945人まで増やすことができた。そのため、データ収集期間がやや長くなったが、データ解析についても概ね予定通りの進捗状況であり、令和4年度内に研究計画に記載の通りRASECC-GM(現在は「D24H」(https://www.ds.se.shibaura-it.ac.jp/wp-content/uploads/2019/11/D24Hパンフレット.pdf)に移行)を応用した新規開発ツールへの実装が可能と見込まれる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題については概ね現状の通り、研究計画に即して進めていく予定である。 また、新型コロナウイルスのパンデミックから2年以上が経過し、今日では「post COVID-19 condition」(COVID-19罹患後症状)の社会的問題、懸念が増大してきている。本研究課題においても、遷延する症状を宿泊療養施設退所後長期に残存する症状まで含めて調査対象とすることを検討している。現在、調査方法、調査項目等を綿密に検討しており、実施できた場合は次年度の研究実施状況報告書において実績を報告する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大のため、予定していた遠方への出張(学術集会参加、研究分担者との対面打ち合わせ等)がキャンセルとなったため未使用額が生じた。その分は次年度埋め合わせる形で出張経費として使用する予定である。
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