研究実績の概要 |
令和3年度の調査を受けて、「個人レベルで身に着け改善することが可能な知識knowledge・技術skills・態度attitudes」について、米国ならびに英国における「コア・コンピテンシー」と対比しながら、特に3番目の「態度」にフォーカスした探索を行った。ASBHの報告書第2版では、当初第1版の3番目が「性格character」となっていたことをめぐって、第2版作成タスクフォース・メンバーのあいだでも「倫理コンサルテーションに関連する用語としては、問題点の多い用語選択」であるとの見解が示され、コンピテンシーとは本来「安定的に好業績を達成している人材に共通して観察される行動特性」であるため、「観察可能な行動のセット、ある特定の行動において内面化された傾向性や、その人材にとってより基本的な構成要素」であることを表現するには相応しくなく、特に初版の「性格」という表記では、まるで個人が生まれ持った特質のために育成もトレーニングもできないものであるかのような誤解を与えること等から、「特性、態度、行動Attributes, Attitudes, and Behaviors」と改められるに至っていたことが確認できた。英国においても「個人的な性格、態度personal characteristics, attitudes」と記されており、確かにcharacterに相当する表現は残っているものの、「行動特性」という意味合いのあるattitudesが併記されており、英国では米国になかった「公正さ、自己認識、反照反証的姿勢fair mindedness, self-knowledge, reflection」といった「自己を客観視する論理的思考力」がより明確化されているところに特徴があることも明確になった。
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