研究課題/領域番号 |
21K10380
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研究機関 | 愛媛県立医療技術大学 |
研究代表者 |
脇坂 浩之 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 教授 (30304611)
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研究分担者 |
山田 啓之 愛媛大学, 医学系研究科, 准教授 (00403808)
金澤 知典 愛媛県立医療技術大学, 保健科学部, 准教授 (50777133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | アルコールパッチテスト / サーモグラフィー / 分光測色計 / ALDH2 / ADH1B |
研究実績の概要 |
2023年度は、引き続き研究対象者の募集とデータの収集を進め、年度の当初予定を上回る64名の研究対象者を得ることができた(2021年度からの総計は133名)。同対象者に対して、アルコール分解能に関する遺伝子検査およびアルコールパッチテストを行い、パッチテスト時の皮膚温度の変化をサーモグラフィーで、皮膚色の変化を測色計で測定した。 今年度までの測定結果(133名)をまとめると、遺伝子検査結果は、ALDH2活性に関しては活性型77例、低活性型49例、非活性型7例であった。ADH1B活性に関しては高活性型68例、活性型57例、低活性型8例であった。アルコールの代わりに蒸留水を用いたコントロール群(127例)、アルコール暴露を行ったALDH2活性群(ALDH2活性、77例)およびALDH2低活性群(ALDH2低活性+非活性、56例)で比較検討すると、サーモグラフィーの結果は、パッチ除去直後のパッチ部の温度が三群のいずれにおいても、暴露前よりそれぞれ平均3.0度、5.3度、5.1度低下していた。またこの低下は、いずれの群においても、時間の経過とともに徐々に小さくなった(すなわちパッチ部の温度は徐々に上昇した)ものの、パッチ除去15分後の温度は全ての群において暴露前の温度より低かった。また、測色計の測定結果は、ALDH2低活性群のパッチ部の皮膚色の赤色変化をパッチ除去前の皮膚色のa*値からの変化量(Δa*)の上昇として検出できており、ALDH2活性群と低活性群の両者間の比較で、パッチ除去2分後から15分後までALDH2低活性群Δa*の有意な上昇がみられた。一方で、パッチ除去直後から2分間程度の間はALDH2活性群はΔa*が低下する傾向があり、ALDH2低活性群ではこの変化は認められなかった。これらについてパッチ部の皮膚温度低下との関連性についての検討を引き続き進めていきたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象者の募集、説明会の開催、同意書の取得、検査と進め、2024年3月までに予定していた120名を上回る133名(2021年度:29名、2022年度40名、2023年度64名)の対象者を得ることができた。また、ALDH2遺伝子活性さらにADH1B遺伝子活性に関する遺伝子検査を実施し、アルコールパッチテストを行うことができた。アルコールパッチテストは、肉眼判定およびサーモグラフィー・測色計を用いた皮膚の変化を測定した。得られたデータを解析し、皮膚温度とALDH2遺伝子型さらにADH1B遺伝子型との関連性についての検討を継続している。 順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究対象者の募集を行い、研究を進める。2024年度は、遺伝子検査およびアルコールパッチテストを60名以上に行う予定である。これまでの研究対象者には最も希少な遺伝子組み合わせのタイプ(ALDH2非活性、ADH1B低活性)が含まれていないため、希少タイプ以外のタイプについての中間解析を進めている。希少タイプの対象者を得るために研究対象者の募集方法について工夫を行っているが、今後も希少タイプの対象者を得る工夫に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析のために必要な物品の一部の購入を翌年に行うこととしたため。
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