研究課題/領域番号 |
21K10396
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研究機関 | 九州保健福祉大学 |
研究代表者 |
松葉 隆司 九州保健福祉大学, 薬学部, 教授 (20304206)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 結核菌 / 病原因子 / 変異 |
研究実績の概要 |
日本を含む東アジア地域に蔓延している結核菌株は、世界中に感染拡大傾向にありアウトブレーク原因株として問題視されているが有効な対策がない。このような結核菌株に特有な性状を付与する原因となる因子やそれら因子による効果についても明らかとなっていない。本研究では、遺伝子系統分類に基づく株間の遺伝子変異に着目し研究を開始した。とくに東アジアに蔓延する系統株に焦点を当て、系統株に特有な変異をもつ遺伝子群を、世界中の結核菌分離株ゲノム配列情報のデータベース検索で抽出を行った。検索結果からは、系統株特異遺伝子変異を持つ29遺伝子群が選定できた。それらは、機能特定または予測が可能なグループと機能不明なグループに大別することができた。前者については、核酸修飾関連、細胞壁合成や排出ポンプなどに関する遺伝子が半数以上を占めていた。遺伝子系統株特異的な変異をもつ遺伝子群は、各遺伝子産物機能活性の亢進、低下あるいは機能不全が変異によって生じる可能性があるため、単独あるいは複合的な効果として結核菌の高病原性化や薬剤耐性化に関連しているのかもしれない。各遺伝子変異による菌性状への影響性を実験的に証明するためには、各遺伝子のクローニングによって組換えタンパクの発現や精製によって活性比較を進める。今年度は、遺伝子産物の機能活性測定が実験的に比較的容易であろう遺伝子について、PCR法を用いた遺伝子クローニングを実施し、得られた組換え大腸菌についてタンパク発現確認を現在進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
勤務地が変わり、実験環境の整備および実験着手に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
各タンパク質を大腸菌や類縁菌種で組換えタンパクとして発現させるために、DNA組換え体の作出およびタンパク発現確認を進めている。可溶性組換えタンパク発現を確認できる組換え体が当初得られない場合にはベクター、発現用宿主変更やベクター等の改変などによる改善対策を試みる必要が出てくる。精製組換えタンパクが得られれば、機能明らかなタンパクについては活性比較が可能となる。機能未知の場合には変異遺伝子をもち組換えタンパクを発現している菌の性状変化や感染細胞への影響を観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
小額残金のため繰越とし、次年度予算に合算して使用する予定。
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