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2022 年度 実施状況報告書

無症候性保菌腸管出血性大腸菌の分子疫学調査

研究課題

研究課題/領域番号 21K10405
研究機関東京女子医科大学

研究代表者

菊池 賢  東京女子医科大学, 医学部, 教授 (60214748)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードEHEC / stx2f / eae / ast / 無症候性保菌
研究実績の概要

EHECの病原因子は志賀毒素 (Stx)であるが、近年、新たなStxとして、Stx2fが急増している。そこで2021年度に無症候性保菌者から分離されたstx2f保有EHEC 41株について、その病原性、遺伝子背景、薬剤感受性、耐性遺伝子について検討を行った。stx2f保有41株のうち、大腸菌は38株で3株は、類縁のEscherichia albertiiであった。これは無症候性保菌者から分離されたstx2f保有E. albertiiの世界初めての事例である。大腸菌38株の内訳では、血清型O-105, MLST 13581が15株、 O-63, MLST 583 4株、O-148 MLST 11102 3株、同, MLST 3558 2株、O-109, MLST 40 3株などとなっており、eae+が72%と大半を占めていた。また、他の病原因子ではast+が49%に見られ、病原性は高いことが示唆された。E. albertiiはそれぞれMLST 2683, 383-like, 5991-likeで、いずれもeaeを保持していた。薬剤感受性ではE. albertii 1株、大腸菌2株がESBL産生菌であり、いずれもblaTEM-1保有株であった。stx2fは臨床検査で行われるstx検査では検出できず、その実態はほとんど明らかになっていない。今回の結果から、stx2f保有株の高い病原性と、一部にみられた薬剤耐性から、stx2f保有株の臨床現場での感染実態などを早急に調査する必要性があると考えられ、これを検出できるシステム構築が喫緊の課題である事が明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

これまでに明らかにされていなかったstx2f保有EHECの無症候性保菌者での分布状況を明らかにすると同時に、中には相当数のEscherichia albertiiが含まれていること、病原性が高いと示唆されることから、公衆衛生上、stx2f EHECが臨床現場で実際に起こっているEHEC感染症への寄与、実態を早急に明らかにすべきであることが明白となった。

今後の研究の推進方策

他の血清型、stx typeとstx2fの分子疫学的な背景、分子進化学的な位置づけを明らかにするとともに、EHEC感染症が疑われる患者のstx2f保有株の実態を明らかにしていく。

次年度使用額が生じた理由

前年度、器材等消耗品の在庫があり、使用金額が少なかったため、次年度への繰り越しとした。今年度は成果の論文投稿を複数控えており、さらにゲノム解析等で多額の研究費使用が見込まれる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 微生物の取り扱いと微生物管理に関わる試験法2022

    • 著者名/発表者名
      田村弘志、菊池 賢
    • 総ページ数
      379
    • 出版者
      R&D 支援センター
    • ISBN
      978-4-905507-60-4

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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