研究課題/領域番号 |
21K10407
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 明日香 関西医科大学, 医学部, 講師 (20412538)
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研究分担者 |
服部 文幸 関西医科大学, 医学部, 教授 (50398624)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | COVID-19 / SARS-CoV-2 |
研究実績の概要 |
SARS-CoV-2ウイルスはACE2レセプターを介して感染するとされ、主に上気道呼吸器症状を呈し、また心筋炎の報告も散見される。これらは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの初期では重症化することが多かった。近年ではCOVID-19の重症化も減少傾向にあるが、その一方で静脈血栓症などの慢性的な合併症の症例があることも報告されている。ACE2レセプターは全身臓器に分布するため、全身臓器にSARS-CoV-2が侵入する可能性は高いと考えられる。全身臓器にSARS-CoV-2が存在しうるかどうかを検討することは、SARS-CoV-2による臓器障害の軽減に繋がる可能性があると考えた。今回、患者への十分な説明の下で同意を得て、COVID-19の約50日後に冠動脈パイパス術を受けた患者の喀痰と、手術における余剰組織(大伏在静脈)を用いて、解析を行った。大伏在静脈におけるPCR検査は陽性で、電子顕微鏡でウイルス様粒子が認められた。静脈組織の免疫学的染色で、SARS-CoV-2のスパイクタンパクとヌクレオカプシドが染色された。本症例は術後経過、全身状態は良好で、術後合併症を認めることなく経過している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症患者の対応などを含めて、臨床業務が非常に多忙かつ不規則であったため、当初の予定していたiPS細胞を用いた実験を行うための、定期的なタイムコースに沿った実験計画を遂行する時間を確保することが非常に困難であり、予定していた計画が滞っている。そのため、SARS-CoV-2が全身臓器をターゲットとし得るかという解析を、臨床検体を用いて行うことを並行して行っている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の重症化について検討するにあたり、SARS-CoV-2が全身臓器に分布しうるかという問いに対し、iPS細胞を用いて解析を行う予定であった。当初の予定と並行して、患者からの同意が得られた症例で、臨床検体を用いて解析を行う事も検討することで、更なる発見が得られると確信し、並行して行う方針とする。検体解析の外部発注についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は臨床業務が多忙であり、計画していた実験系を遂行する時間的余裕がなかった。現在、臨床検体を集めており、それを解析するにあたって、外注検査を行っていく方針も考慮に入れて進めていく予定である。
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