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2021 年度 実施状況報告書

グラム陰性菌に特異的に作用する細菌由来の新規抗菌物質の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21K10408
研究機関近畿大学

研究代表者

森 美穂  近畿大学, 農学部, 准教授 (70581031)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード新規抗生物質 / 菌の単離 / グラム陰性菌 / 薬剤耐性菌
研究実績の概要

薬剤耐性菌や新たな感染症原因菌の出現は、世界的な脅威であり、有効な対策が求められている。しかしながら1960年以降、新しい作用機序を示す、副作用が小さい、薬剤耐性菌が出現しにくいなどの有用な特徴をもった抗菌物質が天然物からほとんど見つかっていない。そこで本研究では、抗菌物質生産菌が存在している可能性が高い単離源を新たに開拓することと、効率の良い生産菌の単離方法を確立し、グラム陰性菌に対して特異的に作用する新規抗菌物質の取得を目指している。単離源として、これまで用いられることが多かった土壌や環境水以外に、昆虫や植物なども対象として、グラム陰性菌に特異的に殺菌効果を示す物質生産菌の単離を試みた。また、抗菌物質は、実用化に向けた生産や服用を想定する場合、低温または高温、酸性またはアルカリ性、酵素存在下であっても安定であることなどの性質が求められるため、低温や高温、低pHや高pHの培養条件を組み合わせて、目的の細菌の単離も進めた。現時点では、昆虫から目的の菌が単離できたが、土壌や環境水を用いて培養条件を工夫した系では、目的の菌の取得に至っていない。新しい抗菌物質生産菌の単離に関する論文には、抗菌活性を示す細菌がどれだけの割合で検出されたのか、取得に至った成功のポイントなどについてはほとんど記載されていない。今後もさらにデータを蓄積し、効率よく新たな抗菌物質を取得するための単離源と単離条件を明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画通り、単離源と初期スクリーニングの培養条件を工夫することで、グラム陰性菌に対してのみ抗菌活性を示す新規抗菌物質を生産する細菌の単離を主に実施した。単離源として昆虫を用いた系で目的とする細菌が得られた。また選抜した菌株を16S rRNA塩基配列に基づいて同定した結果、新種である可能性が示された。しかしながら現時点で得られたいくつかの菌株由来の抗菌物質は、50℃以上の熱処理や有機溶媒処理で活性が減少し、分子量が大きいことなどから抗菌タンパク質である可能性が高いことが明らかとなった。様々な培養条件(培地成分、固化材、培養温度、pH、培養時間など)を組み合わせて単離を試みたが、これまでによく用いられてきた単離源の土壌や環境水からは現時点では目的の菌の取得には至っていない。

今後の研究の推進方策

今後の研究推進方策については、概ね計画書通りに進める予定である。前年度に引き続き、グラム陰性菌に特異的に抗菌活性を示す新規抗菌物質を生産する細菌の単離項目については継続して実施する。単離した抗菌物質生産株を用いて、生産に最適な培養条件(使用培地の種類や培養温度、pH、培養時間などを組み合わせて行う)を検討し、新規性が高いと判断された菌株の最適培養条件で培養した培養液から抗菌物質の精製を行なう予定である。次年度は下記の実験も同時に行なう。グラム陽性菌に特異的に抗菌活性を示す場合は、Listeria monocytogenes、MRSA、Streptococcus mutans、Propionibacterium acnesなどのグラム陽性菌に対しても抗菌活性を調査し、池の水から単離して-80℃保存している研究室ライブラリーストックから抗菌活性を示す菌を探索する。

次年度使用額が生じた理由

目的としている菌の候補株を複数単離することはできたが、新規抗菌物質を生産しているかどうかまでを明らかにすることができなかったため、今年度は次世代シーケンサーによる菌株の全ゲノム解析を委託しなかった。次年度は選抜した菌株の全ゲノム解析を行うとともに、新たに候補となる菌株のDNAシーケンス解析による同定を進めていく予定なので、その際に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 野菜の薬剤耐性菌数の調査と低減効果に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      小松華子, 小谷真世, 福永望美, 湖山啓介, 稲谷岳人, 新光秀行, 城島透, 森美穂
    • 学会等名
      日本防菌防黴学会第48回大会
  • [学会発表] ヒノキチオールの連続使用による大腸菌の薬剤耐性化に関する研究2021

    • 著者名/発表者名
      井口恒輝, 下川春香, 中井彩瑛, 堀越匡, 森美穂, 城島透
    • 学会等名
      日本防菌防黴学会第48回大会

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公開日: 2022-12-28  

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