研究課題/領域番号 |
21K10420
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
西田 智 帝京大学, 医学部, 講師 (10409386)
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研究分担者 |
斧 康雄 帝京平成大学, 健康メディカル学部, 教授 (10177272)
吉野 友祐 帝京大学, 医学部, 教授 (60624509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 多剤耐性菌 / スーパー感染 / アシネトバクター / 肺炎桿菌 / 黄色ブドウ球菌 / 病原性 / カルバペネマーゼ / WGS |
研究実績の概要 |
わが国における超高齢化社会の到来と、主要死因に占める悪性腫瘍の増加とそれに伴う抗悪性腫瘍薬の使用や、臓器移植に伴う免疫抑制薬の使用といった高度医療の進歩により、感染に対する抵抗力が低下した易感染宿主が増加している。これらの患者に薬剤耐性菌が感染すると、病態が難治化し、時に重症化する。結果として肺炎や敗血症といった重症感染症による死亡率が増加しており対策が求められている。近年、アシネトバクターや肺炎桿菌は多剤耐性の獲得と院内感染を引き起こすことから国内外で社会的な問題となっている。また、薬剤耐性菌感染と合併したCOVID-19肺炎も報告されるようになった。本研究は重症感染症を引き起こす薬剤耐性菌のスーパー感染 (重複感染) とその病原性に関わる因子を同定して迅速診断や化学療法の新しい標的を発見することを目的とする。 本研究では、臨床分離された薬剤耐性株のスーパー感染に関わる因子をゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、感染実験によって明らかにすることを試みる。解析対象はESKAPE (Enterococcus feacium, Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter baumannii, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter sp.) と呼ばれる抗菌薬に対する耐性化が生じて問題となっている菌種とした。 昨年度までに多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA) 、KPC-2産生肺炎桿菌 、多剤耐性緑膿菌 (MDRP) がスーパー感染した患者から臨床分離株が得られた。今年度は新たに、ウイルス感染症患者から、合計4株の臨床分離株が得られた。今後、得られた臨床分離株のゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、モデル動物を用いた感染実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、臨床分離された薬剤耐性株のスーパー感染に関わる因子をゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、感染実験によって明らかにすることを目的としている。解析対象はESKAPE (Enterococcus feacium, Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter baumannii, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter sp.) と呼ばれる抗菌薬に対する耐性化が生じて問題となっている菌種とした。 昨年度までに多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA) 、KPC-2産生肺炎桿菌 、多剤耐性緑膿菌 (MDRP) がスーパー感染した患者から臨床分離株が得られた。今年度は新たに、ウイルス感染症患者から、合計4株の臨床分離株が得られた。引き続き、スーパー感染病原体の分離を継続し、今後、得られた臨床分離株のゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、モデル動物を用いた感染実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は得られた臨床分離株のゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、モデル動物を用いた感染実験を行う予定である。ゲノム解析された菌株は比較ゲノム解析により、分子疫学的な解析とスーパー感染に関わる遺伝子の推定を行う。これまでの薬剤耐性遺伝子の検出法確立の経験を生かして、リアルタイムPCRやLAMP法による検出法を確立する。また、病原性遺伝子をシャトルベクターへクローニングし、非病原性株へ導入することによって病原性が獲得されるかどうかを感染モデルで確認することにより病原性因子の機能解析を行い、さらに病原性遺伝子の発現を抑制する薬剤の探索を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、臨床分離された薬剤耐性株のスーパー感染に関わる因子をゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、感染実験によって明らかにすることを目的とする。解析対象はESKAPE (Enterococcus feacium, Staphylococcus aureus, Klebsiella pneumoniae, Acinetobacter baumannii, Pseudomonas aeruginosa, Enterobacter sp.) と呼ばれる抗菌薬に対する耐性化が生じて問題となっている菌種とした。 これまで、多剤耐性Acinetobacter baumannii (MDRA) 、KPC-2産生肺炎桿菌 、多剤耐性緑膿菌 (MDRP) がスーパー感染した患者から臨床分離株が得られた。また新たに、ウイルス感染症患者から、合計4株の臨床分離株が得られた。引き続き臨床分離株の取得を継続する。今後、得られた臨床分離株のゲノムシーケンス解析、遺伝子クローニング、モデル動物を用いた感染実験を行う予定である。
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