研究実績の概要 |
本研究では,作業環境測定試料分析において,分析作業者の化学物質のばく露リスク低減および化学分析の高精度化を実現するために,化学物質の抽出方法のなかでも自動化に適している固相抽出法に着目し,作業環境測定に適用できるように固相抽出法を高精度化した新規分析方法を提案する. 今年度は,研究計画 ② 固相抽出条件の検討 a. モデル化合物及び同位体化合物の抽出条件の検討の一部について行った. 同位体には,o-トルイジン-4,6-d2及びo-トルイジン-d3を用い,o-トルイジンとの検出感度を比較した.o-トルイジン,o-トルイジン-4,6-d2,o-トルイジン-d3を共存させず,o-トルイジンまたは同位体のいずれか1種類のみを含む試料溶液をLC/MSで測定し,作成した検量線では,o-トルイジンと同様の検量線が得られ,検出感度は同程度であった. また,同位体をサロゲートとして用い,実試料の抽出過程で回収率が低い場合を想定し,各濃度比のo-トルイジン- o-トルイジン-4,6-d2混合溶液およびo-トルイジン-d3- o-トルイジン-4,6-d2の混合溶液(o-トルイジン-4,6-d2, 0.25-1 μg/mlの濃度の時,o-トルイジンまたはo-トルイジン-d3濃度は0.25-1 μg/ml)を測定した.同濃度比の面積比を比較した場合,o-トルイジン- o-トルイジン-4,6-d2混合溶液では相対標準偏差は2.91%,o-トルイジン-d3- o-トルイジン-4,6-d2の混合溶液では4.69%であり,この濃度範囲では影響がみられなかったが,0.001-1 μg/mlの濃度範囲o-トルイジン- o-トルイジン-4,6-d2混合溶液では,低濃度領域で面積比が増加する傾向が見られた.
|