研究実績の概要 |
本研究では,作業環境測定試料分析において,分析作業者の化学物質のばく露リスク低減および化学分析の高精度化を実現するために,化学物質の抽出方法のなかでも自動化に適している固相抽出法に着目し,作業環境測定に適用できるように固相抽出法を高精度化した新規分析方法を提案する. 今年度は,研究計画 ② 固相抽出条件の検討 a.モデル化合物及び同位体化合物の抽出条件の検討を引き続き行った.昨年度に行った,実試料の抽出過程で回収率が低い場合を想定した条件での測定において,同位体をサロゲートとして用いた場合,濃度領域によっては同濃度比の面積比(試料/サロゲート比)が変動する傾向が見られたため,さらに定量性への濃度の影響を明らかにするため,同濃度比の試料/サロゲートの試料溶液の濃度領域を変動させ,一定濃度の内部標準物質を添加し測定を行った.また,サロゲートおよび内標準物質には,o-トルイジンの同位体である,o-トルイジン-4,6-d2及びo-トルイジン-d3を用いた.o-トルイジン/o-トルイジン-4,6-d2:0075-1 μg/ml(各濃度比は1/1)およびo-トルイジン-d3:1 μg/mlを含む試料溶液をLC/MSで測定し作成した検量線は,o-トルイジン(y=1.061+0.018,r=0.998)およびo-トルイジン-4,6-d2(y=0.981+0.093, r=0.998)であり,検出感度は同程度であった.また,o-トルイジン/o-トルイジン-4,6-d2の濃度及び面積比を比較した結果,面積比は一定ではなく,減少する傾向が見られた.o-トルイジン-4,6-d2:1 μg/mlを含む,o-トルイジン/o-トルイジン-d3:0.0075-1 μg/ml(各濃度比は1/1)の試料溶液においても同様の結果であった.
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