研究実績の概要 |
建材等への使用量が近年増加している2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールモノイソブチレート(TMB:代表的商品名 テキサノール)および2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート(TDB:同 TXIB)は、喘息等アレルギー性疾患との関連性が疑われるとともにシックハウス症候群の原因となる化学物質であり、住民への健康影響が懸念される。本研究では、TMBおよびTDBによる子どもの健康被害の防止を目指し、日常生活環境下の子どもにおけるこれら化学物質の一日の摂取量(曝露量)を尿中に排泄されるこれらの代謝物量から把握し、曝露による健康リスクについて評価することを目的とする。 これまでに、TMBまたはTDBを投与したラットの尿中から、ともに2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール(TMPD)および3-ヒドロキシ-2,2,4-トリメチル吉草酸(HTMV)を主要な代謝物として同定し、その分析方法を確立した。 さらに、TMBまたはTDBを投与したラットにおいて排泄される各尿中代謝物を薬物動力学的に解析し、尿中HTMVはTMBおよびTDBの摂取量の指標として適することを明らかにした。 令和5年度は、大阪府内に在住する日常生活環境下の子ども(小学生と中学生:年齢6~15歳)から朝起床時において採取した尿試料をこれまでに確立したガスクロマトグラフィー/質量分析法により分析し、尿中代謝物HTMVおよびTMPDの定量を進めた。
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