研究課題/領域番号 |
21K10436
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
西條 泰明 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70360906)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地域医療 / 医師確保 / 医療職の負担 / 保健所 / プライマリケア医 / 医師の働き方改革 |
研究実績の概要 |
北海道・東北地方における病院の産業保健活動の実態を明らかにし、さらに労働関連法令に定められた項目の未実施に関連する要因を明らかにすることを目的に、北海道・東北地方の1,108病院に調査票を郵送した。回答のあった307病院が解析対象となった。調査票は病院の特徴と産業保健活動や関連法令への対応である。統計解析は、所在地、病床数、職員数、救急医療体制を説明変数、法定項目5項目(産業医・衛生管理者選任、36協定、長時間労働医師面談、ストレスチェック)の未実施数をアウトカムとする多変量順序ロジスティック回帰分析を行った。産業医の選任なしは4.2%に認め、施設管理者の医師が産業医である割合は11.9%、衛生管理者の選任なしは11.1%、36協定の締結なしは8.5%、長時間労働の医師面接なしは48.5%、ストレスチェックの実施なしは2.6%であった。多変量順序ロジスティック回帰分析では、病床数が少ないこと、職員数が少ないこと、救急指定がないことが有意に法定項目未実施のオッズ比を上昇していた。産業保健体制・医師の働き方改革対応の意見や困りごとの自由記載では33のテクストが抽出された。総テクスト数に対するカテゴリの割合は、診療体制33.3%、宿日直27.3%、労働時間管理18.2%であった。診療体制のサブカテゴリでは医師不足15.2%、労働時間規制による診療縮小の懸念6.1%、当直医の供給先である大学病院からの医師派遣制限が懸念6.1%、宿日直のサブカテゴリでは宿日直許可取得に苦慮9.1%、宿直回数が多い6.1%であった。北海道・東北地方の病院では、特に小規模病院や救急指定病院がない病院において産業保健活動の適切な対応ができていない割合が高くなる傾向があり、外部からのサポートがなされる必要があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「地方の小規模医療機関の産業保健活動の実態と改善策の解明」について、質的な要素の解析に時間がかかり、研究のまとめと学会発表準備に時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
「地方の小規模医療機関の産業保健活動の実態と改善策の解明」について日本産業衛生学会で発表を行い研究内容への意見を得る。また、医師の働き方改革実施後の状況について病院の実態や報告等の確認を行い、本研究の最終的なまとめを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
「地方の小規模医療機関の産業保健活動の実態と改善策の解明」について、質的解析部分に時間を要し、質的部分を含めた発表を行うのに時間を要した。次年度使用については、当該発表に係る旅費と、学会の意見や情報収集、また2024年度から始まった医師の働き方改革対応の情報を得ることにより研究内容のまとめを行う。
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