研究課題/領域番号 |
21K10439
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
成田 暁 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (50459468)
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研究分担者 |
田宮 元 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10317745)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ゲノムワイド関連解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)の要約統計量をもとに、疾患発症リスク予測システムの基盤を確立することを目的としている。 2022年度は、他の研究機関との共同研究として、提供された検体のゲノム多型タイピングやimputation(遺伝子型推定)を実施した。これらのデータは、東北大学東北メディカル・メガバンク機構が運営、管理するバイオバンクに蓄積され、疾患リスク予測システムの基盤確立に向けて二次利用される見通しである。 一方で、東北メディカル・メガバンク計画(TMM)地域住民コホートのゲノムコホートデータを用いてGWASを実施し、国内外の研究機関が主催する共同研究の一環として、GWAS要約統計量の提供を行った。Global Lipids Genetics Consortiumとの共同研究では、メタGWASの要約統計量を、染色体上の位置や機能、遺伝子発現量などのデータと組み合わせた統合解析により、脂質レベルと生物学的に関連する遺伝子を集中的に同定できることが示された。 さらに、疾患リスク予測手法についても、Ueki & Tamiya (2016)が開発したsmooth-threshold multivariate genetic prediction(STMGP)を、TMM地域住民コホートデータおよびUKバイオバンクデータに適用し、予測能が従来の手法を上回る傾向が得られたほか、外部のGWAS要約統計量を取り込むことによる予測能の向上についても検証を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度も、複数の研究機関との共同研究を通じて、多くの検体のゲノムデータを蓄積しており、海外を含む他の研究機関が主催する共同研究にも、TMMのゲノムコホートデータを用いたGWASという形で貢献し、論文も発表されている。 さらに、疾患リスク予測手法についても、TMM地域住民コホートデータおよびUKバイオバンクデータを用いた検証で、STMGP法が従来の手法と比較して高い予測能を示す結果が得られており、おおむね順調に進捗していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も、他機関との共同研究を通じて、さらに多くの新規ゲノムデータの蓄積に努める。また、TMMのゲノムコホートデータを用いて、国際メタGWASプロジェクトへの参加、貢献も引き続き行う。 さらに、疾患リスク予測手法についても、STMGP法を軸に、アルゴリズムの効率化による計算負荷・所要時間の軽減や、外部のGWAS要約統計量の統合による予測能の向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は、複数の学会の年次大会出席を計画していたが、スケジュールの都合で人類遺伝学会第67回大会への参加にとどまったため、支出額が予定より下回った。 今後、次年度の学会参加費・旅費や論文投稿料に充当する予定である。
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