研究課題/領域番号 |
21K10448
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大石 絵美 九州大学, 医学研究院, 助教 (10850000)
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研究分担者 |
二宮 利治 九州大学, 医学研究院, 教授 (30571765)
坂田 智子 九州大学, 医学研究院, 助教 (50815016)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高血圧 / 血圧管理状況 / 時代的推移 / 心血管病 |
研究実績の概要 |
1974年、2002年に福岡県久山町の健診を受診した心血管病の既往のない40-79歳男女(それぞれ1,972名、2,854名)の2集団を15年間追跡し、血圧管理レベル別にみた心血管病発症率の時代的推移を検討した。各集団の健診時の血圧管理レベルは以下の6群に分類した:(1)正常血圧群(血圧120/80 mmHg未満)、(2)正常高値血圧群(120-129/80 mmHg未満)、(3)高値血圧群(130-139/80-89 mmHg)、(4)未治療群(降圧薬服用なし+140/90 mmHg以上)、(5)管理不良群(降圧薬服用あり+140/90 mmHg以上)、(6)管理良好群(降圧薬服用あり+140/90 mmHg未満)。心血管病発症率の算出には人年法を用いた。 1974年の集団における心血管病発症率(性年齢調整後、対千人年)は(1)正常血圧群3.0、(2)正常高値血圧群5.2、(3)高値血圧群8.6、(4)未治療群14.8, (5)管理不良群18.8、(6)管理良好群15.1であり、正常血圧群と比べて高値血圧群および未治療群・管理不良群において有意に高く、一方で管理良好群では管理不良群に比べて低い傾向を認めた。同様の検討を2002年の集団において実施したところ、 (1)4.2、(2)4.5、(3)6.7、(4)9.4、(5)9.1、(6)7.5であり、1974年の集団と同様のパターンを認めたが、管理良好群では未治療群と管理不良群に比べて低い傾向を認めた。高血圧者における血圧管理レベル別にみた心血管病発症率は時代と共に低下したが、いずれの集団においても高値血圧者および未治療者・管理不良者では、正常血圧者に比べ心血管病発症率が高く、適切な降圧管理によりその発症率は低下する傾向を認めた。わが国における心血管病の予防対策を更に推進する上で、高値血圧以上の血圧上昇者に対する血圧管理の徹底が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
解析に必要なデータセットを整備し、血圧管理レベル別にみた心血管病発症率の時代的推移に関する統計解析に着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
わが国における高血圧管理状況の予後を明らかにするために、高血圧管理状況別にみた心血管病・認知症(各病型別も含む)発症および死亡との関連についてCox比例ハザードモデルを用いて検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度の当初の計画では、追跡調査を実施する際に研究補助者を雇用するために人件費を支出する予定であったが、コロナ禍の影響もあり必要とされる人材の確保ができなかたったため、次年度への使用額が生じた。 (使用計画) 令和5年度は、研究実施に必要な人材の確保に要する人権費や物品費を中心に、データの整備・解析にともなう研究費、成果発表の旅費として研究費を適正に使用する。
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