研究課題/領域番号 |
21K10451
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
岡田 定規 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50624780)
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研究分担者 |
西岡 祐一 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (50812351)
金岡 幸嗣朗 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, オープンイノベーションセンター, 上級研究員 (70873412)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レセプト情報 / 特定健診 / 透析導入 |
研究実績の概要 |
本研究では、2013~2019年度の奈良県国保データベース(奈良県KDB)かつ2013~2018年度の特定健診・後期高齢者健診データベースを利用して、健診データと連結したレセプトデータ:延べ228,556人の情報を取得した。そのうち透析導入ハイリスク因子の同定に関して最も影響しうるデータの1つである「血清クレアチニン」を3回以上の健診で測定している対象者:116,409人を用いて研究を行っている。 これまでの研究から腎機能を示す推定糸球体濾過量(eGFR)の経時的な低下が透析導入リスクだけでなく、死亡リスクを予測することが報告されている。2021年度の本研究成果から、短期間のeGFRの経時的な変化(eGFR slope)と透析導入リスクには“U-shape”の関連があることが分かった。そこで、2022年度はeGFRの変動係数(CVeGFR)と透析導入リスクについて検討を行った。 CVeGFRは中央値 5.7%(四分位範囲 3.5-8.5%)と非正規分布を示し、CVeGFR高値例においてその後の透析導入率が高いことが分かった。そこで、CVeGFR=8.5%(第4四分位)をカットオフとしてCVeGFR≧8.5%、<8.5%の二群に分けて解析を行うと、CVeGFR≧8.5%の群において既存の透析導入リスク因子(年齢、性別、eGFR、尿蛋白、糖尿病、高血圧、高尿酸血症、貧血、冠動脈疾患、eGFR slope)と独立して透析導入率が高いことが明らかになった。また、CVeGFRと透析導入の関連は高血圧や糖尿病などの基礎疾患によって関連の程度が異なっていた。 現在これらの知見をまとめ、学術集会にて報告し、学術論文として発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
奈良県KDBおよび健診データベースを用いた研究を継続し解析を実施している。現在、解析の結果を公表すべく準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
健診データから得られるeGFR変動係数を用いて、健診受検者から透析導入ハイリスク者の効率的な抽出方法を探索する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学術集会がオンラインで開催されたため、旅費として請求していた費用が不要となったため残金が生じた。また、学術雑誌への論文投稿に関する費用について、論文投稿が次年度となったため費用に残金が生じた。
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