研究課題/領域番号 |
21K10452
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研究機関 | 東北医科薬科大学 |
研究代表者 |
村上 任尚 東北医科薬科大学, 医学部, 助教 (70451606)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | フレイル / 歯科口腔保健 / コホート研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、疫学研究の手法を用いて歯数の減少や歯周病といった口腔の健康と将来のフレイルとの関連を明らかにし、口腔保健指標から将来のフレイル発生を予測できるかを探るとともに、その関連メカニズムの一端を解明することを目的としている。研究対象は、岩手県花巻市大迫町で毎年実施されている「健康づくりフロンティア事業(旧:家庭血圧測定事業)」に参加し各種検診を受診した地域一般住民のうち、「岩手県花巻市大迫町における家庭血圧に基づく疫学研究」(通称:大迫研究)への参加同意が得られた者達からなる集団である。 新型コロナウイルス感染症拡大に対応するため、令和3年度は規模を大きく縮小せざるを得なかったが、令和4年度については十分な感染対策を講じた上でほぼ例年通りの内容で事業が実施された。令和4年度は大迫町亀ケ森地区の住民が対象で、男女合わせて計142名の事業参加があった。そのうち希望者を対象とする医科・歯科検診を年度内に3回(11/7、11/14、1/25)設定し、参加した計62名(男性25名、女性37名、平均年齢65.2歳)に対して医科検診、血液検査、ならびに口腔機能検査を含む歯科検診を行って口腔保健状態を包括的に評価する歯科関連データ、フレイルの評価指標、交絡要因と考えられるデータを収集した。血液検査の測定項目には、本課題申請時に予定していた新規導入項目(シスタチンc)を追加した。得られたデータは、適切な管理の下で既存データとともに整理・保管できている。本年度は、主に現在までに蓄積されているデータを用いて、各種口腔保健指標とフレイルに関わるとされる動脈硬化との関連について論文にまとめた。 また、花巻市および関係する他の研究機関とのオンラインミーティングを定期的(月に一回程度)に開催するとともに、各種学会にて情報収集・交換を行い次年度以降における感染対策も含めた研究推進方略について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大迫研究では、大迫町を4つの地区(大迫、内川目、外川目、亀ヶ森)に分け、1年ごとに異なる地域の検診を行っている。令和4年度は亀ケ森地区の住民を対象に前述の事業が行われ、男女合わせて計142名が家庭血圧を測定した。そのうちの希望者を対象とする医科・歯科検診を、大迫研究の主たる研究機関である帝京大学、申請者が所属する東北医科薬科大学を含め、東北大学、秋田大学、大阪大学、慶応大学、総合花巻病院および岩手県花巻市大迫総合支所保健福祉課の協力により、年度内に3回(11/7、11/14、1/25)設定して実施することができた。いずれかの日程で検診を受診した計62名(男性25名、女性37名、平均年齢65.2歳)に対して、歯科医師による口腔内診査および聞き取り調査を含む各種口腔機能検査(①口腔細菌数、②口腔湿潤度、③咬合力、④舌圧、⑤咀嚼能力)、医師および保健師が中心となって行う医科学検査(身体検査、各種血圧測定、採血検査、運動能力検査、認知機能検査、生活習慣・既往歴などの聴取)を実施し、口腔保健状態を包括的に評価する歯科関連データ、フレイルの評価指標、交絡要因と考えられる各種データを収集した。血液検査の測定項目には、本課題申請時に予定していた新規導入項目(シスタチンc)を追加することができた。 得られたデータは、対象者への検診結果のフィードバックに用いるとともに、適切な管理の下で既存データとともに整理・保管できている。主に現在までに蓄積されているデータを用いて、各種口腔保健指標とフレイルに関わるとされる動脈硬化との関連について解析して論文にもまとめており、概ね順調に進展していると考えている。 ただし、例年通りの事業実施が可能かどうか不透明な時期があり一部の事前準備が十分にできず、新規導入を予定していた項目(歯肉溝浸出液バイオマーカー検査)を採用することができなかった点が課題として残った。
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今後の研究の推進方策 |
調査先自治体および他の研究機関との連携を強め、感染対策に十分留意しながら大迫研究の継続調査を行う。令和5年度は、内川目地区にて住民検診を実施予定であり、約120名の事業参加を見込んでいる。次年度も引き続き例年通りの採血検査、歯科検診等を実施するとともに、今年度導入を見送らざるを得なかった新規項目の導入を目指しつつ、歯科検診データ、血液データ、運動能力データ、認知機能検査データ、およびその他交絡要因となりうる臨床データを収集する。併せて、大迫研究で蓄積されている保存血清・血漿の利用可能性も検討する。 また、本課題期間内に新たに得られたデータと、既存データを用いた関連する解析についてもさらに順次進め、学会発表および論文化を図る予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、ほぼ例年通りの内容で事業が実施されたものの、新型コロナウイルス感染症対策のために検診準備および実施時に調査先である岩手県に入る県外スタッフの数を絞る必要があった。そのため、予定されていた旅費および人件費の支出が少なかったこと、加えて、実施可否が不透明だったことにより導入の目途が立たずに実施できなかった新規検診項目があり必要物品購入のための支出がなかったこと、本研究が多施設共同で実施されている大迫研究の一部であるために消耗品の購入が他経費から賄われたことにより次年度使用額が生じた。 次年度には、検診に必要となる消耗品の購入費、検診実施および成果報告にともなう旅費、ならびに新規導入項目への支出に当該研究費を使用する予定である。
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