研究課題/領域番号 |
21K10455
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
佐野 浩斎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20408404)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者糖尿病 / 過活動膀胱 / リスク因子 / 地域調査研究 |
研究実績の概要 |
当該年度に実施した研究の成果について、具体的内容としては、研究開始から令和4年3月の間に、町立津南病院を受診した時点で65歳以上の、すでに糖尿病と診断されている患者もしくは新たに糖尿病と診断された患者23名(男性9名/女性14名)平均年齢76.5±7.5歳(±標準偏差)をリクルートしたことがあげられる。すべての患者に対して説明を行い、文書にて同意を得た。説明文書は慈恵医大の倫理委員会にて承認を得た。対象者の身体所見、既往歴および家族歴の有無、糖尿病発症年齢、糖尿病罹病期間、年齢、性別、糖尿病の治療方法などの臨床像、糖尿病やその他の生活習慣病に関する各種検査項目、糖尿病合併症の有無も確認した。確認できていない項目に関しては順次確認していく。対象者に、過活動膀胱症状質問票を用いて、排尿に関する臨床像を確認し、過活動膀胱の診断基準に基づき、合計スコアを求めた。神経伝導速度測定器を用いて、末梢の感覚神経のひとつである腓腹神経に電気刺激を与え、神経伝導速度値と活動電位振幅値を定量的に測定した。自律神経に関しては、心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-Rinterval: CVRR)を測定した。外来受診時に、膀胱内尿量測定器を用いて、排尿後の膀胱内の残尿量を測定した。疫学的な観点からも、高齢者糖尿病患者の患者背景、臨床像を確認し、日本排尿機能学会における過活動膀胱ガイドライン作成委員会が提唱している過活動膀胱症状質問票(Overactive Bladder Symptom Score :OABSS)を用いて、過活動膀胱に関する臨床状態を確認することや、末梢神経障害や自律神経障害検査や膀胱内の残尿量を確認することは、高齢者糖尿病患者における過活動膀胱のリスク因子を明らかにしようとする本研究の目的を遂行することに重要な意義があると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新潟県津南町という人口約9800名の地域において調査しているため、糖尿病の有病率を約1割とすると津南町内の糖尿病患者は約980名と推定される。さらに当該地域の65歳以上の高齢者は約4割のため高齢者糖尿病患者は約390名と推定される。この患者層を対象にさらなるリクルートを継続していく予定であるが、当該年度は本研究期間の初年度でもあり、研究内容を東京慈恵会医科大学の倫理委員会に提出して承認を得たうえ、臨床検査技師などを含めた調査チームの研究の遂行における検査工程の確認などを繰り返しおこなった期間もあり、対象症例のリクルートおよび調査の開始時期が研究期間の中盤以降となった。リクルート開始からはその後の対象者からのデータ取得が順調に行なわれている点からも「おおむね順調に進展している」を選択させて頂いた。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は初年度であり、対象者のリクルート開始の時期が当該年度の中盤以降となったものの、その後は順調にデータを取得できている。次年度はさらに対象となる高齢者糖尿病患者を町立津南病院の外来を受診する患者からリクルートし、そのリクルートをさらに継続する。今後の研究の推進方策に関しても、研究計画の変更はなく、当該年度の初年度と同様に、町立津南病院を受診した時点で65歳以上の、すでに糖尿病と診断されている患者もしくは新たに糖尿病と診断された患者をリクルートする。すべての患者に対して説明を行い、文書にて同意を得る。対象者の身体所見、既往歴および家族歴の有無、糖尿病発症年齢、糖尿病罹病期間、年齢、性別、糖尿病の治療方法などの臨床像、糖尿病やその他の生活習慣病に関する各種検査項目、糖尿病合併症の有無も確認する。確認できていない項目に関しては順次確認していく。対象者に、過活動膀胱症状質問票を用いて、排尿に関する臨床像を確認し、過活動膀胱の診断基準に基づき、合計スコアを求める。神経伝導速度測定器を用いて、末梢の感覚神経のひとつである腓腹神経に電気刺激を与え、神経伝導速度値と活動電位振幅値を定量的に測定する。自律神経に関しては、心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-Rinterval: CVRR)を測定する。津南町在住で町立津南病院の外来を受診した時点で65歳以上の患者の中で、高齢者糖尿病患者のリクルートを継続し、患者背景、臨床像を確認し、さらに、過活動膀胱症状質問票を用いて、過活動膀胱に関する臨床状態を確認することや、末梢神経障害や自律神経障害検査や膀胱内の残尿量を確認することにより、高齢者糖尿病患者における過活動膀胱のリスク因子を明らかにしようとする本研究の目的を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は本研究期間の初年度でもあり、研究内容を慈恵医大の倫理委員会に提出して承認を得た後に開始したことや、臨床検査技師などを含めた調査チームの研究の遂行における検査工程の確認などの期間もあり、対象症例のリクルートおよびデータ取得の開始の時期が研究期間の中盤以降となった。そのため、対象症例のリクルート数が当初の予定よりも少なくなり、自律神経障害の程度を定量的に把握できる心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-R interval: CVRR)を計測するために用いる心拍センサーの必要数が予定よりも少なかった。次年度使用額が生じた理由として、心拍センサーの購入数が当初の予定より少なかったことがあげられる。次年度使用額と当該年度以降分として請求した助成金を合わせた使用計画として、次年度も町立津南病院の外来を受診する患者から対象となる高齢者糖尿病患者のリクルートを継続するため、対象症例の自律神経障害の程度を把握できる心電図RR 間隔変動係数(coefficient of variation R-R interval: CVRR)を計測するために用いる心拍センサーの購入などに使用する計画である。
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