研究課題/領域番号 |
21K10462
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
吉岡 英治 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (70435957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自殺対策 / 新型コロナ感染症 / 中断時系列解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、「(A)失業によってどのような地域の自殺リスクが特に高くなるのか?」「(B)最近の日本においては、失業が自殺リスクへ及ぼす影響は性や年齢階級によりどのように異なるのか?」ということを明らかにするために実施する。当初は、1999年から2021年までの日本の状況における、失業率と自殺率との関連を解析する予定であった。 しかしながら2020年以降現在に至るまで、新型コロナ感染症の流行が全世界的にみられ、このため日本を含めたほとんどの国において、日常生活や経済活動の制限が余儀なくされている。そしてこの感染対策として実施した、日常生活や経済活動の制限により、日本では、失業者や生活困窮者が増加し、自殺者が増加することが危惧されていた。このため、当初の予定を変更し、本研究では、新型コロナ感染症流行が日本における自殺率に及ぼす影響を解析することとした。 まず初めの解析では、2016年1月から2021年12月までの、日本の月別の性年齢階級別の自殺者数のデータを使用した。そして2020年4月以降に日本において、新型コロナ感染症の流行対策に伴う社会的な影響が大きくなったと仮定し、それ以前(2016年1月から2020年3月まで)とそれ以降(2020年4月から2021年12月まで)との自殺率の推移を、中断時系列解析(Interrupted time series analysis)により比較し、新型コロナ感染症の流行後に自殺率がどのように変化したかを解析した。その結果、日本では、新型コロナ感染症の流行後に、それ以前と比較して、自殺率の推移は大きく変化した可能性があることが示唆された。そして、この変化は、女性や若い世代で特に顕著であるようであった。 本研究の解析結果は英語原著論文としてまとめ、発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画を変更し、新型コロナ感染症の影響に関する研究を、本年度実施した。解析は終わり、1編の英文原著論文を作成し、発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き、新型コロナ感染症の流行の影響を解析する予定である。加えて、1990年代後半のアジア通貨危機の影響も解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はある程度計画通りに実施できているが、予定していた研究成果の発表などは実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。 次年度は、繰越金である120万円と配分される90万円を使用して、研究成果の発表(論文投稿、学会発表、その他)、データの入手、データの解析などを実施する予定である。
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