研究実績の概要 |
令和3度まではコロナ禍のため岩木地区健康増進プロジェクト健診が中止となっていたが、令和4年度からは規模を縮小して健診が再び開催できている。令和4年度では健診参加者のうち腹部超音波検査の解析をできた人数は731人(男性306;女性425人、平均年齢53.4歳)で、そのうち273人(37.3%)に脂肪肝(CAP med 248以上)を認めた。血中plasminogen activator inhibitor-1濃度は、脂肪肝を認めない参加者群(28.7ng/mL)と脂肪肝を認める参加者群(28.4ng/mL)で差がみられなかった。Body mass index(21.9kg/m2 vs. 25.0kg/m2, p<0.05)および、血中アラニンアミノトランスフェラーゼ(18.9 U/L vs. 26.2U/L, p<0.05)、中性脂肪(87.2mg/dL vs. 134.3mg/dL, p<0.05)、ヘモグロビンA1c(5.5% vs. 5.9%, p<0.05)は、脂肪肝を有する参加者群で有意に高値であった。 本研究は地域一般住民の大規模健康調査から得られたデータを用いて行う研究であり、コロナウイルス感染症による社会状況の変化が研究全体に大きく影響してくる。本研究でターゲットにしている非アルコール性脂肪性肝疾患を診断するためには、脂肪肝を認めた上で更に飲酒量、肝炎ウイルス感染の有無、内服薬剤などの項目を確認する必要がある。しかしながら研究期間がコロナ禍と重なったため、問診データや採取した検体データの取り扱いなどに遅れが生じ、非アルコール性脂肪性肝疾患を診断する項目を含めた解析ができなかった。現在はコロナウイルスの感染状況が落ち着いてきており、健診データが徐々に利用可能となってきていることから、今後は令和5年度の健診データも含めて更に解析を進めることにしている。
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