研究実績の概要 |
研究①:異なるワクチン配分での累積感染者数の比較 (1)輸入した分を全て高齢者への2回接種に用いる方法、及び (2)高齢者を1回接種のみにして残り半分のワクチン在庫を成人(20~64歳)に回す方法の2つにおいて、数理モデルを用いて検討した。両スケジュールにおいて、年齢群別の感染性、ワクチン接種後のウイルスへの相対的感受性、を次世代行列と掛け合わせることで、最終的な年齢別累積感染者数および年齢別累積死亡者数を計算した。配分スケジュール(1)を用いた場合、(2)と比べて最終的な累積死亡者数は低く、1回接種を行った場合のワクチンの有効性によって70.3万人~169.8万人の範囲で死亡がみられると計算された。また、仮に高齢者の90%が2回接種をし、成人の100%が1回接種を行った場合においても、全人口の40.7%~50.0%が最終的に感染をすると見積もられ、その場合の実行再生産数は1.12であった。
研究②:リアルタイムでワクチン配分した場合における感染者の比較 一日100万本を高齢者及び成人に対して1回接種したシナリオ(1)と、高齢者のみに対して2回接種完了した後に成人に2回接種するシナリオ(2)に対し、年齢による異質性および行動制限など社会的介入の効果を加味したSIRモデルを用いてシミュレーションした。両シナリオを想定したときの最終的な感染者数から、年齢別致死率をかけることで総死亡者数も計算した。シナリオ(1)では最終的に1,212,599人(小児233,254人、成人841,524人、高齢137,821)が感染すると予測され、総死亡者数は11,180人と見積もられた。一方で、シナリオ(2)では1,571,322人(小児315,536人、成人1,126,704人、高齢129,083)が感染すると予測され、総死亡者数は11,275人と見積もられた。
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