研究課題/領域番号 |
21K10467
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 鉄郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (60809416)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルス / ワクチン / COVID-19 / 実効再生産数 / 累積感染者数 |
研究実績の概要 |
【目的】2020年初旬に発生した、新型コロナウイルス感染症の集団発生について乗船客・乗員データを分析することで、流行動態を再構築した。これにより、偽陰性者や検査前に見逃された感染者や自然治癒者を含んだ感染者数を推定した。 【方法】2020年2月5日より14日間、乗客2666人は各々の客室内で行動を制限され、濃厚接触者含め都度PCR検査が行われた。PCR検査の結果が判明している2595人の乗客のうち、陽性者は572人、陰性者は2023人であった。まず、隔離開始後の各日付の船内感染ハザードλを階段関数で定義し、コンパートメントモデルを用いて、PCRの結果および症状の有無についての実データに当てはめてパラメータ推定をした。また、同様の推定を乗組員1045人についても行った。これにより、各日付での実際の感染者数および感染者総数を推定し、乗客と乗組員同士の異質性を加味した実効再生産数を推定した。 【結果および結論】 クルーズ船内の新型コロナウイルス感染症の集団発生について、時刻に依存する感染ハザードを推定することにより、流行曲線を再構築することができた。これにより、隔離開始前後での感染ハザードの違いを明らかにすることができた。この結果より、流行対策によって感染ハザードは極端に減少し、集団発生の流行曲線を下火にさせたことを示した。また、乗客と乗組員同士の実効再生産数を明らかにし、乗組員間での感染が船上での流行の延長の要因になっていることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度中に現在の研究が完成する予定。
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今後の研究の推進方策 |
上記概要に記載した研究を今年中に完成させ、論文発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要書籍およびワークステーションや周辺機器などを揃えて解析の作業を予定していたが既存のワークステーションでも十分に対応できたため、次年度持ち越しとなった。今後の解析をするにあたり、新たなワークステーション購入が必要になる可能性が生じているため、予定通りの予算を使用することになると考えられる。
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