研究課題
多腺性自己免疫症候群(Autoimmune Polyendocrine Syndrome;APS)は、内分泌臓器だけではなく様々な臓器を横断的に障害する疾患であるため専門的治療が必要にもかかわらず、その臨床的実態は不明であり、適切な治療を提供できていない。本研究は、匿名レセプト情報の格納率が99.9%と高い悉皆性をもっている厚生労働省のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)を最大限に活用し、日本人のAPSの実態把握を目的としている。研究期間の1年目に当たる令和3年度は、匿名レセプト情報収集の準備として厚生労働省のNDBの申出方法に準じて抽出項目の検討、各種マスターの整備等を行った。さらに解析環境の構築準備として、計算機サーバー等の機器並びにデータ解析のためのソフトウェアの調達を行った。しかしながら、要配慮個人情報であるNDBデータを扱うためにはセキュリティ要件を満たした研究施設に出入りする必要があることから、新型コロナウイルス感染症の流行に伴う行動自粛の影響を受けた。引き続き、当該研究に係る文献的な検討およびエクセル表化された練習用サンプルを用いたシミュレーションを進めており、申請手続きの後NBDデータを入手次第、データ整理・解析用データセットを生成し解析を進めることが可能となっている。さらに、得られた解析用データセットを基に機械学習および深層学習を用いた探索的データ解析を活用して、臨床データに基づいたAPS患者を見逃さないために有効な予測モデルを構築する準備を進めている。
3: やや遅れている
令和3年度は当初の予定通り、本研究実施のために必須である解析環境を整備するため、計算機等の備品の調達、データベース構築の準備を開始した。またレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)のデータ提供窓口への事前相談をはじめるとともに、データ提供申出に向けた情報収集を行い、具体的な研究プロトコルの作成に着手した。しかしながら、NDBの解析は所定の決められた施設でのみ実施可能であるため、令和3度は新型コロナウイルスの蔓延に伴う影響から、解析環境にアクセスする機会が制限されたため、充分な解析環境の準備をする時間の確保が困難であった。
本研究に必要なデータ取得のために、手戻り等が発生しないよう厚生労働省担当部局および窓口との連携を図りながらNDBの申請手続きを実施する。また適宜、分担研究者より技術的並びに研究方法論的課題について助言を受けながら、研究計画の実施及びデータ解析の準備を進め、学会発表および学術論文等、成果の発信をしていく。
令和3年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴う制限のため、充分な解析時間の確保及び検討が困難であった。要配慮個人情報であるNDBデータを扱うためにはセキュリティ要件を満たした研究施設に出入りする必要があるが、研究環境の整備のための必要物品の購入に遅滞をきたし、また調査・研究旅費執行の延期が生じた。今後の行動制限の緩和に伴い、令和4年度に必要物品の購入および調査・研究旅費の使用を予定している。
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CAMPUS HEALTH
巻: 58 ページ: 72-77