研究実績の概要 |
日本産婦人科学会の生殖補助医療データベース(ARTデータベース)及び周産期登録データベース(PERデータベース)に2014年から2018年までに登録されている症例数は、それぞれ約216万周期(うち出産に至ったものは約26万周期)、約118万分娩数であった。この結果から、生殖補助医療を受けて出生まだ至った割合は12.0%であった。また、登録されている分娩数の割合は、24.4%であった。 両データベースで共通の内容で登録されている項目である「出産日」(「分娩日」)、「出生児の性別」、「出生時体重」(「出生体重」)を特定した。そして、これらの項目の一致する症例を抽出した(双胎、品胎も含む)。その際、PER登録データベースで、「不妊治療の有無」がありとなっている症例に限ることとした。これらの作業により、両データベースにおいて結合できた症例は66,064例(人)であった。今後は、PER登録データのうち、不妊治療無と回答した症例をコントロール群として、生殖補助医療の各治療法がコントロール群と比較をして、分娩や新生児の異常との関連について多変量解析を行うこととしている。 ARTデータベース)の解析では、2016年から2018年までの臨床的に妊娠が確認された約45万周期について、胎児の染色体異常を従属変数、生殖補助医療の治療方法、母親の年齢(治療時)を共変量として多重ロジスティック回帰分析を実施した。染色体異常の調整オッズ比は、対外受精・胚移植(IVF-ET)群と比較して、FET群で有意な上昇が確認された(p<0.001)。この結果については、結合できた症例(66,064例)の出産時の母親の年齢を用いて再解析を実施することとしている。
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