わが国の健康診断のデータをデータベース化した健診データの研究への利用可能性については、十分に検討されていない。そこで、健診データとレセプトデータをリンクした商用でデータベースを取得して薬剤疫学研究への利用可能性について検討を行った。 まず、健診データから脂質異常症の基準を満たす集団を、研究対象集団として特定することが可能であった。脂質異常症の基準を満たす日をindex dateと定義した。この時点における合併症や併用薬の情報を取得するためには、レセプトデータとリンクする必要があるが、こちらの情報取得についても可能であった。アウトカムのうち、診断や薬から定義することが可能な疾患についてはレセプトから定義することが可能であった。眼科疾患については、手術を含むレセプトから定義する必要があったが、診断、薬、手術に関するレセプトデータを用いて、定義することが可能であった。これらを利用して、単純な粗解析を行い、複数の交絡因子の影響を調整した解析を行うことが出来た。粗解析の結果については、第31回および第33回日本医療薬学会年会にて報告することが出来た。 アウトカムについては手術に関する記録を利用することから、別の疾患における検査の記録が利用可能かを検討した。慢性骨髄性白血病の治療薬であるイマチニブの使用者をレセプトから定義し、薬物血中濃度の測定割合を求めた。さらに、レセプトを用いてアドヒアランスの検討を行うことは重要なので、あわせて検討を行いInternational Journal of Clinical Pharmacology and Thearpeutics(2022,60;469-476)に報告した。
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