研究実績の概要 |
この研究では人間ドック患者を対象とした、NAFLDと食後高血糖などの耐糖能障害の関連性、および健診項目としての食後高血糖を反映する1.5AGが有用かどうかを調べた。 2021年度~2022年度にかけて156名の男性被験者に対し糖負荷試験、腹部超音波などを行い脂肪肝の有無で2群に分けて検討した。被験者は全員糖尿病、高脂血症の既往がなく内服治療を行っていないものとした。その結果、脂肪肝がある被験者は脂肪肝のない被験者にくらべて、糖負荷試験の2時間値が高値であり、食後高血糖が存在することがわかった。しかし、空腹時血糖や1,5AG,HbA1c値では両群に有意差はなく、糖負荷試験をして初めて耐糖能障害がわかるような状態であったため、脂肪肝を認める男性はHbA1cが正常であっても耐糖能障害が存在する可能性が高いことがわかった。また、脂肪肝と脂質の関連では中性脂肪とHDLコレステロールで有意差をみとめた。食後高血糖を反映する1,5AGも比較検討したが2群間で有意差を認めず、糖負荷試験の代わりに1,5AGを利用することは困難と思われた。 さらにインスリン・グルカゴンの検討では、脂肪肝群では有意にインスリン抵抗性を認め、糖負荷試験後のグルカゴンの高値持続を認めた。今までの研究で脂肪肝(NAFLD)では NAFLDや糖尿病患者を対象とした耐糖能障害との関連を報告されているが、今回のように健康診断患者を対象としたNAFLDとグルカゴン、インスリンの関係性を明らかにしたものはなく、健常人でも脂肪肝の存在はインスリンやグルカゴンの調節とかかわりがあることがわかった。2023年度は上記報告をもとにデータを論文化しており、現在投稿準備中である
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