研究課題/領域番号 |
21K10487
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
細澤 麻里子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 研究員(移行) (70646207)
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研究分担者 |
西田 淳志 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 社会健康医学研究センター長 (20510598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 孤独感 / 思春期 / 推移 / 自傷行為 / 希死念慮 / いじめ / コホート / 社会情緒発達 |
研究実績の概要 |
本研究では、主に国内大規模思春期コホートのデータを用いて思春期の社会情緒発達とその予測要因および成人期の予後との関連を明らかにすることを目的としている。初年度は、広義の社会情緒発達の中でも、多大なる健康影響が指摘されながらも思春期世代に関するエビデンスが少ない孤独感に着目し経過の個人差を踏まえた検討を行った。 具体的には、10歳から16歳までの4地点において孤独感の発達推移パターンを潜在クラス成長分析を用いて同定し、その予測要因(いじめられ体験、親の心理的高負荷)および16歳時の自殺関連事象(自傷行為、希死念慮)との関連を検討した。共変数として、児の性別、家庭の社会経済状況(親の国籍、教育歴、世帯収入、ひとり親)、児の慢性疾患の有無および知的発達の遅れの有無について調整をした。対象者3,164人において、10から16歳の孤独感の頻度は約15-20%であった。思春期前期から中期の孤独感の推移は4群に分類され、孤独感が継続的に低い群(78%)、経過中低下する群(16%)、経過中上昇する群(6%)、全期間を通して高い群(0.8%)となった。10歳時点でのいじめられ体験と親の心理的高負荷は、上昇群と孤独感が継続的に高い群を特に予測した。孤独感が継続的に高い群は、16歳時の自傷行為のリスクが6倍、希死念慮のリスクが3倍と自殺関連事象の最もハイリスクである一方で、孤独感が上昇または低下する群においてもこれらのリスクが高かった。思春期の孤独感をターゲットにした介入は、後の自殺予防に役立つ可能性がある。また、思春期の孤独感の軽減には、本研究で同定された予測因子(いじめ、親の心理的負荷)に対する取り組みが必要であることが実証された。 上記の派生研究としていじめの関連要因に関する研究、および、社会性の問題や自閉傾向を抱える児におけるメンタルヘルスに関する研究を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の主な研究計画(既存データを用いた検討)は、予定通り実施しえた。一方、コロナ禍の影響で今年度後半より実施予定であった新規データの取得は来年度に延期となっている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は同定された推移パターンに関連する生物学的指標について検討すると同時に、新規データを収集し成人期予後との関連を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のために新規データの収集が遅れているため繰越し費用が発生した。
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