研究課題/領域番号 |
21K10487
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
細澤 麻里子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際医療協力局, 研究員 (70646207)
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研究分担者 |
西田 淳志 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 社会健康医学研究センター長 (20510598)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 思春期 / メンタルヘルス / 孤独感 / コロナ禍 / 国際比較 / いじめ |
研究実績の概要 |
本研究では、大規模思春期コホートのデータを用いて思春期の社会情緒発達とその予測要因および成人期の予後との関連を明らかにすることを目的としている。今年度は、20歳児調査を実施し新規データの取得を行いながら、既存データを用いた以下の研究を行った。 1つ目の研究では、東京ティーンコホートの16歳調査はコロナ禍をまたいで実施されており、この調査特性を活かして、コロナ禍前に調査をした児とコロナ禍で調査を実施した児で抑うつ症状の以前の調査からの変化に相違があるかを検討した。その結果、コロナ禍群はコロナ禍前群よりも0.8ポイント抑うつ症状が高く、この影響は特に男子において大きかった。一方女子では平均の抑うつ症状は男子よりも高いものの、変化は年齢に伴う変化の範囲内であった。この結果からは、年齢や性別による変化を考慮してもコロナ禍で思春期世代の抑うつ症状が上昇し、特に男子において影響が大きかったことが示された(論文投稿中)。 次に、初年度に行った国内の思春期集団における孤独感と関連要因の検討結果を踏まえて、今年度は国際機関が収集している公開データを用いて主に中低所得国の思春期世代における孤独感の頻度と関連要因の国際比較を行った。その結果、世界70か国の思春期世代の孤独感は平均11%であり、性別や仲間関係との関連は国によって異なるものの、いじめられ体験はほとんどすべての国において孤独感と関連を示した。この結果からは、いじめ対策はどの国においても思春期世代の孤独感対策の重要な要素になりうることが示された(J Adolescent Health,2023掲載)。 いずれの研究も、今後の本邦および世界における思春期世代のメンタルヘルス対策を考える上で貴重なエビデンスである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開始が遅れていた新規データの取得も開始をすることができた。また、既存データを用いた検討も予定通り実施している。
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今後の研究の推進方策 |
国内外の大規模コホートデータを用いながら、思春期の精神的健康と成人期予後との関連について検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査費用が想定よりも少なく済んだこと及び、コロナ禍により成果発表のための学会旅費が少なくなっているため。来年度は成果発表や共同研究先との対面打ち合わせも検討している。
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