研究課題
研究期間中に種々の解析を行なった、以下に代表的解析の例を記す。糖尿病発症リスク評価のサブグループ解析【背景】糖尿病では、治療法の発展に加えて、発症予防が重要である。発症予防には、リスク群を見つけ早期に介入することが有用だが、耐糖能以外に将来の糖尿病発症を予測する有用な手法の報告は少ない。最近、GAD-Ab,糖尿病発症年齢、HbA1c、BMI, インスリン抵抗性及び分泌能の指標(HOMA2指数)の6つの因子を持いたクラスター解析より2型糖尿病が4群に大別されると報告された。【目的】非糖尿病者を対象に同様にクラスター解析を行い、将来の糖尿病発症リスク群を一般住民を対象に調べた。【対象】2014年に岩木健康増進プロジェクト健診を受診した1167人のうち、2015年から2019年までの5年間に1度以上同健診を受診した非糖尿病者886人(男性327人、女性559人)。【方法】5つの変数(年齢、BMI、HbA1c、HOMA2-β、HOMA2-IR)に基づき階層型クラスター分析を行い得られたクラスターに対しCoxの比例ハザードモデルにて糖尿病発症のハザード比(HR)を調べた。【結果】4つのクラスターが得られ、クラスター1(n=103; 肥満で十分な代償性インスリン分泌のあるインスリン抵抗性群)とクラスター2(n=136; 低インスリン分泌群)のクラスター3+4を対照としたHRは各々14.2 と53.2と有意に高かった。また、これらクラスター所属者はBMI、HbA1c、HOMA2-β、HOMA2-IR各々のカットオフ値を用いる事により確実に見けられた(ROC解析のAUCは各々0.997 と0.983)。【考察】年齢、BMI、HbA1c、HOMA2-β、HOMA2-IRを用いてのクラスター解析により糖尿病発症高リスク者を明らかに出来き、また、各クラスター毎の発症予防が可能となると思われた。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子因子を用いた解析を進めると共に、他の一般検査因子も含めた関連解析、クラスター解析も行っており、それを元に現在、生活習慣(環境)因子の違いも考慮した解析を予定しており、概ね順調に進展している。
現在行っている、クラスター解析から得られた各クラスターが生活習慣病発症のリスクとしてどのように寄与するかを、本クラスター解析に加えていない因子も含めて更に解析する。加えて、本研究集団の変更関連データを拡充するとともに、これらデータと生活習慣病との関連解析も行い、更なる解析を行なう為の基本データとする。
コロナの影響で、学会等の研究成果の発表の機会の多くが現地発表では無くweb 開催となり旅費の経費が当初の見込みより少なくなった。コロナは沈静化してきており、次年度に合わせて使用できるものと思われる。
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J Clin Med.
巻: 12(3) ページ: 810
10.3390/jcm12030810
巻: 11(11) ページ: 3216
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