研究課題/領域番号 |
21K10502
|
研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
竹内 昌平 長崎県立大学, 看護栄養学部, 講師 (80432988)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 新型コロナウイルス感染症 / 時空間的な集積性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感染症の流行に対し、1)事前の感染症流行対策に活用できそうな社会的・地理的要因を探っていくこと、2)潜在的なリスクを可視化することを通し、「感染症対策を優先的に行う地域を決めることができるか?」といった問いに答え、有効な公衆衛生行政に結びつけることである。 今年度は、長崎県の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を対象として、主に地理的要因として、離島という条件が感染症の侵入・流行を妨げる要因となりうるかどうかを検討することを目的に研究を行った。昨年同様、長崎県環境保健研究センターと長崎県における流行のデータを共有し、患者の時空間的な集積性について検討した。 特にデータ全体(2020年3月~2022年8月)を通して、時間的な集積性を検討した場合、壱岐、対馬、上五島を含む1つのクラスターしか検出されなかった。本データは、流行の第8波までを含んでいるが、特に第8波の影響が大きく、細かく流行を分けて検証する必要性が示された。実際に流行を細かく分けて検証すると、例えば第3波では、壱岐(2020年12月~2021年1月)と五島(2021年1月)にそれぞれ1カ所のみで構成されるクラスターが検出された。また第5波では、五島(2021年8月~9月)1カ所のみのクラスターと壱岐、対馬、上五島の3カ所で構成されるクラスター(2021年8月)が1つずつ検出された。五島はどちらも独立したクラスターを作っており、離島等条件が孤立性の高い流行を招いた可能性を示している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行の影響などで遅れた分が残っており、引き続きやや遅れているを選択した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、長崎県環境保健研究センターとのやり取りを行いながら、残りのデータ収集を行いつつ、基本再生産数、実効再生産数といった流行の指標について推定を進める。また、今年度の離島における流行の時空間的集積性を含め、流行のリスクを可視化していくことを予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
初年度の新型コロナウイルス感染症の流行の影響で、実施可能な部分を選択的に実施し、次年度使用額が発生した。令和6年度は、データ整理のためのアルバイト雇用などで使用する計画となっている。
|
備考 |
本ページの「調査・研究一覧」参照 今年度の早いうちに本研究課題について、独立したページを作成する予定。
|