研究課題/領域番号 |
21K10509
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
櫻井 勝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90397216)
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研究分担者 |
石崎 昌夫 金沢医科大学, 医学部, 教授 (10184516)
森河 裕子 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (20210156)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 予防医学 |
研究実績の概要 |
本研究は,現行の特定健診・保健指導では把握できない40歳未満の青壮年期を含む職域集団を対象に,体質,食事や運動などの生活習慣,職業要因などの社会的要因などと,肥満・生活習慣病との関連を明らかにし,青壮年期における肥満・生活習慣病発症予防のための効果的な介入方法を開発し,その効果を検証する. 2021年度は,現在進行中のコホート研究の既存の資料をもとに,尿中ナトカリ比と代謝異常に関しての青壮年期の特徴を調査した.尿中ナトカリ比の中央値は20代で3.15と最も高く40-60代では2.5前後であった.1日の推定塩分摂取量は20代で男性8.9g,女性8.3gと最も少なく,年齢とともに上昇した.推定カリウム摂取量は20代で男性1524mg,女性1468mgと最も少なく年齢とともに上昇した.以上から,青壮年期のナトカリ比が高い理由として,野菜や果物などのカリウム摂取量の不足が影響していることを明らかにした.また,尿中ナトカリ比と血圧との関連において,40歳以上の者では尿中ナトカリ比が高いものほど収縮期血圧は有意に高かったが(p=0.006),40歳未満の者では有意な関連は認めなかった(p=0.491).一方で,40歳未満の者では尿中ナトカリ比が高い物ほど中性脂肪が高く(p=0.001),HDLコレステロールが低いことから(p=0.005),40歳未満の尿中ナトカリ比が高くなる食事は,熱量が多い食習慣と関連している可能性が示唆された. 以上より,40歳未満を対象にナトカリ比を指標とした食習慣の改善は,血圧に関しては直接は影響ないものの,40歳以降の将来の血圧上昇を予防するために有用であること,さらに若年期の脂質異常症の防止に有用である可能性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は,予定通り既存コホート研究の解析を実行した.また,2022年度に行う調査の準備も順調に進行している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は,2021年度に実施した既存コホート研究の資料の解析をさらに進めるとともに,新たに生活習慣に関する情報を入手し,食習慣や運動習慣などのより詳細な生活習慣と肥満・代謝異常の関連を解析することで,青壮年期に特徴的な生活習慣の課題を明らかにする.得られた結果をもとに,生活習慣のリスク要因に基づく保健指導法を開発し,2023年度に開発ツールに基づく保健指導を実施し効果を検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度にはコロナ禍でコホートのある富山県黒部市に直接赴いての研究打ち合わせや学会出張ができず,旅費は使用しなかった.また,2021年度は既存資料を用いた解析を行ったので,あらたなデータベース構築の委託は行わずに済んだので委託費は使用しなかった. 使用しなかった旅費については2022年度の研究打ち合わせ,学会出張の旅費として使用する. また,2021年度に行わなかったデータベース構築は,2022年度に新たに収集した資料も合わせて実施する予定であり,その経費を2022年度に繰り越して使用する.
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