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2021 年度 実施状況報告書

都市部地域住民を対象とした、低T3症候群と心血管疾患発症・死亡に関する追跡研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K10513
研究機関国立研究開発法人国立循環器病研究センター

研究代表者

河面 恭子  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (40784153)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード低T3症候群 / FT3 / 甲状腺機能 / 心血管疾患 / 死亡
研究実績の概要

心血管疾患患者を対象とした研究では、FT3のみが低値を示す低T3症候群が高頻度で認められ、低T3症候群があると心血管死や全死亡のリスクが上昇すると報告されている。これまでに、日本の一般住民を対象としたコホート研究で甲状腺機能を測定し追跡した研究はほとんど存在せず、特に低T3症候群について検討したものはない。本研究では、都市部一般住民を対象としたコホート研究(吹田研究)において、低T3症候群と心血管疾患発症・死亡との関連について追跡検討する。
本年度は、2005、2006年度の健診受診者3538人について、横断的に解析した。
FT3の基準値は、検査方法や検査会社により異なるが、2.1-4.1pg/ml(三菱化学BCL)で判定すると、本研究における都市部一般住民で低T3に合致するのは1%未満であり、既報の心血管疾患患者における頻度(20-60%)と比較するとかなり少なかった。
FT3値の3分位別(T0(1137人):1.3-2.9、T1(1338人):3.0-3.2、T2(1063人):3.3-8.5 pg/ml)の分析では、FT3が高いグループほど男性の割合が有意に高く(T0:35%、T1:41%、T2:63%)、飲酒者や喫煙者の割合も高かった。男女で傾向が異なるため、今後は男女別の解析が必須であることが分かった。
一方、相関係数(r)で見ると、FT3は年齢(r=-0.2)、TSH(r=-0.2)、HDL(r=-0.2)と有意な負の相関、FT4(r=0.4)、身長(r=0.2)、体重(r=0.2)、赤血球数(r=0.3)、Hb(r=0.3)、Hct(r=0.3)と有意な正の相関を示した。低T3症候群は、心不全、腎不全、肝硬変、糖尿病、敗血症、悪性腫瘍などの消耗性疾患や飢餓状態で生じるとされているが、本研究では、FT3が低くなるほど、年齢が高く、体格が小さく、貧血傾向であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は、本研究に必要なデータの整備、データセットの作成を行った。予定通り、順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

次年度は、FT3、FT4、TSHの値から甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能亢進症、潜在性甲状腺機能低下症、低T3症候群などの甲状腺機能異常について分類し、有病率などを観察する。また、各群で横断的に対象者背景を解析する。甲状腺機能と同時に測定したアディポネクチン、高感度CRP、インスリンなどとの関連についても解析する。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、データの整備や基本的な検討のみを行ったため、専用の解析ソフトや人件費は不要であった。これらは、次年度に使用予定である。

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公開日: 2022-12-28  

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