研究実績の概要 |
本年度は、2002、2003年度の健診受診者3538人のうち、甲状腺疾患にて治療中の20人を除外した3518人(男性1607人、女性1911人)について、横断的に解析した。 FT3、FT4、TSHの基準値(三菱化学BCL)は、FT3:2.1-4.1pg/ml、FT4:1.0-1.7ng/dl、TSH:0.436-3.78μU/mlとされている。FT4、TSHの値で男女別に甲状腺機能を分類すると、甲状腺機能正常:男1370人(85.3%)、女1680人(87.9%)、潜在性甲状腺機能低下症:男162人(10.1%)、女139人(7.3%)、潜在性甲状腺機能亢進症:男37人(2.3%)、女41人(2.1%)、甲状腺機能低下症:男32人(2.0%)、女31人(1.6%)、甲状腺機能亢進症:男2人(0.1%)、女11人(0.6%)、その他の甲状腺機能異常:男4人(0.2%)、女9人(0.5%)と、これまでの健診などでの報告と大きな違いは見られなかった。一方で、FT3が基準値より低値となる低T3に合致するのは1%未満であり、既報の心血管疾患患者における頻度(20-60%)と比較するとかなり少なかった。そこで本研究では、男女別にFT3を四分位に分けて第1四分位の上位5%までを低T3と定義したところ、男性は、Q1(=低T3:1.3-2.5pg/ml,56人)、Q2(2.6-2.9pg/ml,337人)、Q3(3.0-3.1pg/ml,353人)、Q4(3.2-3.3pg/ml,371人)、Q5(3.4-6.4pg/ml,490人)、女性は、Q1(=低T3:1.7-2.5pg/ml,82人)、Q2(2.6-2.8pg/ml,387人)、Q3(2.9-3.0pg/ml,540人)、Q4(3.1-3.2pg/ml,513人)、Q5(3.3-8.5pg /ml,389人)に分けられた。Q1はQ2-Q5と比較して、男性ではアディポネクチンが有意に高く、年齢・HDL-Cが高く、BMI・腹囲、中性脂肪が低い傾向にあった。女性ではHDL-Cや高感度CRPが有意に高く、アディポネクチンも高い傾向にあった。
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