研究実績の概要 |
電場型フーリエ変換質量分析計(Orbitrap LC-MS/MS)を使用した薬物スクリーニングメソッドの開発に取り組んだ。まず、逆相分配 (RP) および親水性相互作用 (HILIC) の2つの機能をもつカラムを利用することで、RPモードではこれまでのODS系カラムと同等の分離、HILICモードではこれまで極性が高すぎて保持できなかった高極性化合物の保持・分離条件を確立した。通常のRPモードでのグラジエント分析に必要な平衡化時間をHILICモードの分離に使い、カラムの付替えをせずに2つの溶出時間が得られるメソッドを開発した。
フルスキャン分析で得られたデータを照らし合わせて化合物名をリストアップするのに利用するデータベースは、サーモサイエンティフィック社オリジナルのマススペクトルライブラリ(約19,000化合物)の他に6種のオンラインデータベース(Cayman Chemical、DrugBank、Human Metaborome Database、KEGG、TCI、Toxin,Toxin-Target Database)、さらに講座独自のデータベースとして、上記分析条件で得られた2種類の分離モードによる溶出時間と実際のMSスペクトルを組み込むことで、より精度の高い定性分析ができるように工夫した。実際の試料および法医関連物質の標準物質を分析しながら、データベースの拡充に取り組んでいる。
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