研究課題/領域番号 |
21K10514
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
奥田 勝博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00389115)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Orbitrap LC-MS/MS / メタボローム / 薬毒物スクリーニング |
研究実績の概要 |
昨年度までに最適化したLC-MS/MSの分離・分析条件を用いて、司法解剖の鑑定のための薬毒物スクリーニングを行いつつ全質量データを採取し、400例を超えるデータを蓄積した。 各事例の死因を一酸化炭素中毒、焼死、薬毒物中毒、海水溺水、淡水溺水、高所転落、頭部外傷、窒息(溺水を除く)、内因性急性心機能不全、青壮年突然死症候群(50歳以下)、偶発性低体温症、敗血症、骨折後数日での死亡に分類し、これらに当てはまらないものや複数の要因が競合すると考えられるものはその他とした。解析にはThermo Fisher Scientific社の低分子 LC-MS ソフトウェア Compound Discovererを用い、代謝物データベースを用いた網羅的解析に加えて、アミノ酸のみまたは脂肪酸のみに対象を絞った解析などいくつかの方法を試みた。 死因によって減少傾向にあるいくつかの化合物が見出されたが、その特異性は完全なものではなかった。一見腐敗の影響はないと認められる試料でも明らかに腐敗アミンの生成が進んでいる試料も多く認められた。解析方法開発時には、これらを客観的に排除するための腐敗マーカーの設定が必要であると考えられた。ソフトを用いた網羅的解析では、ピークの認識等の問題から目視による確認が必須となり、効率的な改善点が多く課題となった。今後もさらにメタボローム解析を続け、死因診断マーカーとなる化合物の発見を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、実際に分析しながらの検討に移行できている。解析方法の開発に苦慮しているが、その進捗と結果については、日本法中毒学会第42年会にて発表を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
一度に膨大なデータを解析すると様々な要因から外れ値ができてきしまうため、まずは各死因について典型的な所見が認められた数例のみに限定して解析する方法を試みる。 ミックスドモードカラムを用いて各モードを交互に測定する方法は、保持時間の再現性が低くなる傾向にあり、解析時に大きな幅を持たせることが必要であるため、LC条件の変更も視野に入れる必要があると考えている。
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