研究課題
法医学分野では、関節液や関節軟骨を対象とした薬毒物分析については,これまでごく少数の膝関節液での報告のみであった。本研究では、薬毒物が関与した解剖事例で申請者が関節液や関節軟骨を採取し、これらを試料として対象物質の超高感度検出方法を開発することで、関節構造での薬毒物の存在や分布を明らかにする。加えて、各事例での薬毒物の摂取歴から検出可能期間の検討も行う。基礎データの採取のためには、ボランティア参加による侵襲的実験も検討する。計画の最終年度である2023年度では,本研究の共同研究機関である内蒙古医科大学法医学講座(中国)と協力し,中国での研究対象試料の採取と分析を試みた.内蒙古医科大学で扱った法医解剖でのヒト関節液,及び比較対象のための各種人体試料(体液,組織,毛髪など)中の薬物及び代謝物濃度を測定する.これまで,新規乱用薬物や覚せい剤成分,ベンゾジアゼピン類,バルビツール系薬物について,各種試料の採取が可能であった.更に,測定対象物質の体内濃度分布や検出可能ウィンドウ検討の基礎データの採取のため,健康ボランティア参加による侵襲的実験の計画策定も進めている.但し,健康ボランティア参加に係る内蒙古医科大学での倫理審査には現在まで時間と追加的調整を要しており,当該計画の策定と実施には当面対応を要する見込みである.これまでの実績として,ベンゾジアゼピン系薬物であるトリアゾラムが関与した解剖事例で、左右膝関節液、血液、髄液、心嚢液、胃内容物及び胆汁の各試料中のトリアゾラム及び代謝物であるヒドロキシトリアゾラムの濃度を測定し、これらの結果をまとめたものが国際学術雑誌に掲載された。加えて,中国国内で新規乱用薬物が関与した解剖事例で,各種人体試料からの対象の高感度分析法を開発し,国際学術雑誌に掲載された.これらの成果により,関節液中の対象物質との比較が可能となることが期待される.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Forensic Toxicology
巻: - ページ: -
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