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2022 年度 実施状況報告書

無機化合物の一斉分析法の確立とその法医学的応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K10524
研究機関香川大学

研究代表者

木下 博之  香川大学, 医学部, 教授 (00284357)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード無機化合物 / イオン / ホウ酸 / 体内動態 / イオンクロマトグラフィー
研究実績の概要

日常生活の中にはたくさんの化学物質があふれており、それらの誤用や事故、意図的な摂取に伴い中毒が発生することがある。中毒の診断や治療にあたっては、原因物質の確認(特定)が重要な要素の一つであり、定性分析だけでなく,生体内での濃度の評価や体内動態も課題となる。死亡事例の場合には剖検を実施し得られた各種試料中の濃度を定量する。
医薬品等の有機化合物については、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィーを用いた分析法が確立しており、質量分析法を併用した高感度な分析が可能である。法医学の実務のみならず、救急医学領域などでも汎用されており、中毒の診断のみならず病態の把握や治療法の評価など、様々な活用がされている。しかし、比較的低分子の無機化合物に関しては、その種類も多く、まだ十分な分析手法が確立していないものもある。
本年度は昨年度に引き続き、ホウ酸の分析について検討を行った。偶然、ホウ酸の測定について、外部から依頼があったこともあり、実務応用と併せて検討を進めた。ホウ酸についてはゴキブリ駆除のための物質として家庭内で汎用されているが、近年はしばしば、認知機能の低下した高齢者での誤食がみられ、法医学教室にも時折測定依頼の相談がある。
ホウ酸については、分光光度法を用いた分析法が汎用されており、その比較を行うための条件設定を行った。試料の前処理のみならず、分離カラムと移動相の選択についても検討をすすめている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでホウ酸分析のための前処理法の検討に時間を要してきたが、分離カラムと移動相の選択についても苦慮している。実務における測定では、分光光度法による結果を得たが、まだ、分光光度法とイオンクロマトグラフィーとの十分な比較検討ができるよう、検討をすすめている。

今後の研究の推進方策

試料の前処理法についての改善を進めており、十分な結果を得られる目途はついたと考えている。また、他の無機イオンについても同じ条件で分離を試み、多種のイオンの同時分析に用いられるよう対応していく。

次年度使用額が生じた理由

本年度については、前処理および分析条件の設定に想定以上に時間を要したため、結果として試薬類の購入が少なくなった。次年度には、カラムとともに恒温槽の購入を計画しており、より安定した条件での分析が可能になると考えている。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Accumulation of EPN in adipose tissue following oral ingestion.2022

    • 著者名/発表者名
      Tanaka N, Kinoshita H, Kumihashi M, Jamal M, Takei S, Yamashita T, Tanaka E, Kawahara S, Kimura S.
    • 雑誌名

      Albanian J Med Health Sci

      巻: 60 ページ: 1-4

    • 査読あり
  • [学会発表] 中毒と法医学2022

    • 著者名/発表者名
      木下博之
    • 学会等名
      第38回日本救急医学会中国四国地方会
  • [学会発表] 法医病理診断における中毒学的検査の役割2022

    • 著者名/発表者名
      木下博之
    • 学会等名
      第10回法医中毒研究会勉強会
  • [学会発表] 鎮咳剤中毒の1剖検例2022

    • 著者名/発表者名
      木下博之,モストファ ジャーマル,山下忠義,川原佐知子,田中悦子,原井川京介,安部寛子,木村正司.
    • 学会等名
      第106次日本法医学会学術全国集会
  • [学会発表] ジフェンヒドラミン単剤の過量服薬により死亡した1例2022

    • 著者名/発表者名
      竹居セラ,モストファ ジャーマル,山下忠義,田中悦子,川原佐知子,安部寛子,木村正司,木下博之.
    • 学会等名
      第39回日本法医学会学術中四国地方集会
  • [学会発表] ピルシカイニド中毒の一例2022

    • 著者名/発表者名
      木下博之,竹居セラ,モストファ ジャーマル,山下忠義,田中悦子,川原佐知子,安部寛子,多田幸右,木村正司.
    • 学会等名
      第39回日本法医学会学術中四国地方集会
  • [図書] Advances in health and disease, Volume 54.2022

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita H, Kumihashi M, Takei S, Jamal M, Yamashita T, Tanaka E, Kawahara S, Abe H, Kimura S.
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      Nova Science Publishers, Inc
    • ISBN
      978-1-68507-868-3
  • [図書] Handbook of Forensic Medicine.2022

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita H.
    • 総ページ数
      1674
    • 出版者
      John Wiley & Sons Ltd
    • ISBN
      978-1-119-64855-0
  • [図書] 標準法医学(第8版)2022

    • 著者名/発表者名
      池田典昭、木下博之ら
    • 総ページ数
      342
    • 出版者
      医学書院
    • ISBN
      978-4-260-04766-1

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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