研究課題/領域番号 |
21K10525
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
北市 清幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (40301220)
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研究分担者 |
岩木 孝晴 岐阜県保健環境研究所, その他部局等, 専門研究員 (00847535)
曽田 翠 岐阜薬科大学, 薬学部, 講師 (30592604)
田中 宏幸 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (70264695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 危険ドラッグ / フェンタニル誘導体 / 代謝 / 有害性予測 / 薬物依存 |
研究実績の概要 |
本助成の研究実施計画に示した流れに基づき、本年度は、①我が国に今後出現が予測されるフェンタニル(FA)類似体の合成、②FA類似体の精密な同定、定量技術の確立、③ヒト肝ミクロソームを用いたFA類似体の代謝実験、を行った ①FA類似体の部分構造であるフラグメント化合物を用い、今後の流行が予測される各種FA類似体の合成に着手した。すなわち、国内のFAの規制状況や諸外国でのFAの乱用の現状を調査、既報の調査を行うことにより、合成可能なFA類似体の合成に着手した。結果として、国内で麻薬や規制薬物に指定されているFA類似体と一部同じ構造を有する化合物を候補化合物とし、Fluorofuranylfentanyl (FFF)、Benzoylfentanyl (BZF)、3-Phenylpropanoylfentanyl (PPF)の合成に成功した。 ②、③母化合物であるFAおよび合成に成功したFFFを用い、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝実験を実施、生成された代謝物が測定可能か否かを確認した。FFFに関しては精密な同定を企図し、構造が類似する3種の位置異性体を2-fluorofuranylfentanyl (2-FFF)、3-fluorofuranylfentanyl (3-FFF)、4-fluorofuranylfentanyl (4-FFF)を使用して実験を行った。結果としてはFAおよび3種のFFFの肝ミクロソームにおける代謝(親化合物の濃度低下)および特徴的な代謝物の確認によるFA類似体の識別に成功した。 その成果については日本薬学会第142年会において「フェンタニル類似体Fluorofuranylfentanylの異性体識別と代謝物の同定に関する研究(森川美空、木下智絵、伊藤宏輔、岩木孝晴、曽田翠、清水英徳、田中宏幸、細井紀也、北市清幸)」という演題で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のとおり、①モデル化合物となるFA類似体の選定および合成、②ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝実験系の確立に着手できた。 ただし、FA類似体の合成に関しては、合成を担当する分担研究者が新型コロナウウイルス感染症の第4~5波の緊急事態宣言発令時に対応要員として所属部署から派遣され、その任に当たったため、約5か月間研究に関わることができなかったため、合成が進まず、以降のヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝実験の開始に若干の支障を来した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度も当初の研究実施計画に従い、各FAの合成を行うと共に、in vitro代謝実験に着手していく。その準備段階としてfentanylまたFAに関する文献情報をもとに、各FAのフラグメント化合物ライブラリーを構築する。LC-MS/MSにおいて、このライブラリーを用いて代謝サンプルの測定を行い、代謝物の構造推定、代謝経路の特定を行う予定である。 昨年度のような新型コロナウウイルス感染症による研究の停滞が無いことを祈りたい。
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