現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は本研究課題の2021年度の計画通り、研究を実施した。血清中Exosomeの環境温度依存的な経日的変化を調べた。ヒト血清をチューブに分注し、4, 20, 又は30℃で、0~3日間静置した。血清中のExosomeを市販の抽出キットと超遠心法を用いて分離後、Exosome膜タンパク質量(CD9, CD63)をWestern blottingにて、Exosome含有miRNAの安定性は内在性hsa-miR-16を定量的RT-PCRで調べた。形態的な変化は透過型電子顕微鏡(TEM)、粒径分布は動的光散乱法を用いて調べた。各群のCD9及びCD63のタンパク質量を0日(コントロール)と比較した結果、4℃では3日目まで変化なかったが、20℃では3日目に減少し、30℃では2日目から経日的な減少が観察された。miR-16発現量は、3日間4℃20℃保存ではコントロールと比較し変化なかったが、30℃保存により減少が認められた。TEMによる観察では、3日目までいずれの保存温度においてもExosomeが観察された。粒径分布測定の結果、コントロール及び4℃保存では、主に直径50-100 nmの粒子が多く存在していたが、20℃及び30℃保存では、さらに微小の粒子が増加する傾向があった。以上の結果より、Exosomeは、30℃保存では死後1日間、20℃及び4℃保存では数日間、体液中に安定して存在している可能性が示唆された。現在は実際に法医解剖時に採取した試料で検討を行っている。研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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