研究課題/領域番号 |
21K10531
|
研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
矢島 大介 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (60451754)
|
研究分担者 |
平田 雄一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (20896344)
井上 博之 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40159992)
岡馬 恵介 国際医療福祉大学, 医学部, 助手 (80844240)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 体腔液のCOHb%分析 / 臓器からのCOHb%分析 |
研究実績の概要 |
【今年度の成果】昨年度は死後変化のない事例の各種臓器を用いて一酸化炭素中毒の評価がある一定の範囲で可能であることを明らかにした。本年度は血中COHb飽和度と各種臓器からの抽出血液のCOHb飽和度に差が出る理由の解明、及び筋組織を用いた一酸化炭素中毒の診断方法の開発に着手した。 ①血中COHb飽和度と各種臓器からの抽出血液のCOHb飽和度の乖離について:本来、血中のCOHb飽和度と臓器抽出血液のCOHb飽和度は一致するはずである。まず、抽出操作過程でのCOHb飽和度低下を確認するために、血液を用いて臓器抽出と同様の操作を行ったところ、一定程度の低下が認められた。 ②筋組織を用いた一酸化炭素中毒の診断方法の開発:筋組織以外の組織では概ね血液の分析結果と一致したが、筋組織では分析できなかった。筋肉に含まれる血液は少なく、抽出液ではCOHb飽和度の分析は困難であることが推測された。解剖時に観察される筋肉の鮮紅色調変化は一酸化炭素ミオグロビンに由来するものでもあることから、COMbが分析可能か否か文献調査を行ったが、ヒトに関するそれらの研究はなく、実際にヒトミオグロビンを入手して研究を行う必要があることが分かった。 ③今後の展開:血中と臓器のCOHb飽和度の乖離については、添加抽出液の液性や抽出温度の検討など、条件検討を重ねていく。COMb分析については、ヒトミオグロビン試料にCO暴露を行い、分光光度計を用い暴露前後でのスペクトル変化の有無を確認することなど基礎的なデータ収集を行う予定である。 【全体の成果】血液試料が得られない事例での一酸化炭素中毒の診断方法の確立を目的とした。血液以外の胸腔液や心嚢液などをラジオメーターで分析したところ一定範囲で診断が可能なことが明らかとなった。次に各種主要臓器の抽出液で同様の分析を行った場合も、一定範囲で一酸化炭素中毒の診断が可能なことが明らかとなった。
|