研究課題/領域番号 |
21K10533
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
鉄 堅 日本大学, 医学部, 講師 (40277439)
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研究分担者 |
奥田 貴久 日本大学, 医学部, 教授 (20620305)
内ケ崎 西作 日本大学, 医学部, 准教授 (30223548)
高成 広起 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任講師 (70723253)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 血漿試料の収集 / MicroRNAマーカー / TaqMan Assayの解析 / CAD病理学的評価 / 相関性の解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、法医解剖が行われたご遺体の組織・血液を対象とし、死体血中の循環miRNAを網羅的に解析し、実際の冠動脈病理所見と紐付け、機械学習による統合的な分析を加えることで、冠動脈硬化症(CAD)の発症・重症化に影響を及ぼしうる「miRNAクラスター」を明らかにすることを目的としています。初年度は主に検査試料の収集とmiRNAマーカーの確認を中心に行いました。次年度以降はさらに検体数とMicroRNAマーカー数を増やして研究方法をさらに充実してCADとMicroRNAの相関性の検討を進めていく予定です。すでに本研究に適している案例として約30例を収取して、これらの案例から心臓血を採取し、血漿を分離して-80℃のフリーザーで保存しています。mirVana PARIS RNA and Native Protein Purification Kitを用い、一部分の血漿試料からmiRNAを抽出しました。次のmiRNAマーカーを選んで、TaqMan MicroRNA Assayを合成して解析を検討しました。線虫由来のcel-miR-39を基準対照としてmiR-185、miR-223、miR-221、miR-3113、miR-137、miR-17-5p、miR-21及びmiR-33a-5pを用いて各試料の解析を行いました。CADの程度とMicroRNAの変化が観察されました。 検査された案例ではアテローム性動脈硬化は多数観察され、ほとんどのMicroRNAの変化が見られ、これからデータの総合解析を行う予定です。更に病理学的変化及び血管内における占有率の評価などを進んでmiRNA相関性を分析してMicroRNAによるCADの診断の可能性について検討していきたいところです。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は主に研究試料の収集とMicroRNAマーカー検出方法の確認です。この一年間で行った法医解剖案例は100体以上に上り、うち本研究に適している案例として約30例でした。これらの案例から心臓血と末梢血を採取し、血漿を分離したあとに-80℃のフリーザーで保存しています。mirVana PARIS RNA and Native Protein Purification Kitを用い、血漿の一部分からmiRNAを抽出しました。miR-185、miR-223、miR-221、miR-3113、miR-137、miR-17-5p、miR-21及びmiR-33a-5p8種類のmiRNAマーカーを選んで、TaqMan MicroRNA Assayを合成して解析しMicroRNAの定量解析を検討しました。 線虫由来のcel-miR-39をMicroRNA定量の基準対照としてまた解剖所見からCADが軽く、年齢の若い解剖例の試料を比較対照として各試料の解析を行いました。TaqMan MicroRNA RT Kitにより、試料のMicroRNAをそれぞれ逆転写したcDNA化後、リアルタイムPCR法によりmiRNAを網羅的に定量解析しました。検査された案例ではアテローム性動脈硬化は多数観察され、ほとんどのMicroRNAの変化が見られ、これからデータの総合解析を行う予定です。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降はさらに目標とした解剖の検体数とMicroRNAマーカー数を増やして、1年目ですでに確認できた研究方法をさらに充実して解剖実例のCADとMicroRNAmiRNAの相関性の検討を進めていきたいです。また、ボランティアの血漿からのMicroRNAの検出及び解剖例の試料と比較して死後のMcrioRNAの変化や解析に対する影響などを検討します。 発現量の数値データを入力し、出力された冠動脈の動脈硬化レベルが実際の病理所見と一致するかを検証し、このプログラムにおける疾患予測の感度・特異度を算出します。臨床診断に足る感度・特異度に満たない場合は、初期の50症例のデータにおけるクラスター化や病理所見の関連付けプログラムの見直しを行い、より高い感度・特異度が得られるようなプログラムの創出を目指します。全症例のクラスター化後、実際の組織評価と照会します。 最終的な疾患の発症・進行予測モデルを作成するため、研究期間中に採取される症例に関してはmiRNA発現量の数値データと病理組織学的所見のデータを併せて教師データとして入力し、機械学習によって両者の関連付けを行います。
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次年度使用額が生じた理由 |
もともと内部基準としてTaqMan U6などを使用する予定でしたが、Cel-miR-39を代わりに使用できましたので繰越金が少し生じました。一年目はほぼ予定通りに研究を進めてきました。次年度は対照試料数を増やして繰越金は残りの解析に使用する予定です。
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