研究課題/領域番号 |
21K10545
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
安藤 敬子 大分大学, 福祉健康科学部, 講師 (80412691)
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研究分担者 |
清村 紀子 大分大学, 医学部, 教授 (90331008)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 交代勤務労働者 / 経耳道的光照射 / 概日リズム / 保健指導 |
研究実績の概要 |
交代勤務者は、本来、ヒトが睡眠をとっている深夜に労働している。その影響として、健康問題が発生しやすいことが既存の研究で報告されている。深夜勤務をする交替勤務者の健康問題発生の理由は、概日リズムがずれることによる生体リズムの乱れである。 そこで、本研究では、1)夜勤を含めた交替勤務者の概日リズムの表現・分析、2) 1)の結果に基づく経耳道光照射による介入、3)介入による概日リズムの表現・分析、4)最終的に1)~3)の結果を蓄積し、交替勤務労働者に対する経耳道光照射の有効性の有無および概日リズムを整え健康の維持・増進を目指す包括的教育プログラムの開発を目指している。 今年度は実施計画に沿って、上記1)の交替勤務者の概日リズムについて心電図モニターによるデータの収集を行っている。今回、対象となっている深夜勤務者は、4日間連続して深夜勤務を行う。そのため、深夜勤務の初日から最終日までの概日リズムの状況が確認できる。深夜勤務をする生活時間に合わせて概日リズムは変化するのか、また、深夜勤務開始日から4日目までの概日リズムが確認できるので、日々、概日リズムは変化していくのか確認する。これと並行して睡眠日誌の記述、眠気レベルの記述も依頼しているため、総合的に夜勤時の概日リズムと眠気レベルなどが確認できる。 次に上記2)の経耳道的光照射による介入と概日リズムの測定を実施しており、概日リズムの表現や眠気レベルについて分析を行う予定である。介入による影響について、介入をしていない深夜勤時の概日リズムの表現や眠気レベルと比較検討していく予定である。 これらのデータによって、対象者の睡眠と覚醒の状態が明らかになり、また、生活習慣についての調査から、個人にあった睡眠衛生教育を検討することができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の目標は、数名の調査終了を予定していた。しかし、コロナウイルス感染者数が高止まりする状況が続いたため、対象者の所属する事業所との実施期間の調整などに時間がかかったことと、また、研究対象者と研究者の接触を減らす必要があったため、本来、研究者が実施する測定データの保存などに関する操作を、対象者もしくは事業所の協力者に依頼することとなり、その資料作成等に時間を要したことが、進捗の遅れの理由である。 具体的には、概日リズムの測定については、夜勤前の休日から深夜勤終了まで5日間、入浴や労働の状況に応じて取り外す以外、24時間貼用し測定する。そのため、心電図モニターやモニターからのPCへのデータ取り出しなどの操作が必要である。これらの操作は、事業所側の協力者または対象者によって行われることとなり、操作方法や注意事項などを記載したリーフレットの作成が必要になった。また、それらの操作説明会を実施することになり、日程の調整などが発生したため、調査開始時期が延長している。また、事業所や対象者の不測の事態が発生したため、状況を考慮しながら実施している。 調査の進捗としては、倫理審査委員会での承認、プレ調査を終え、夜勤を含む規則的に交替勤務を行っている幾つかの事業所に対し、調査依頼を行い、参加協力の同意が得られている。また、すでに同意が得られた事業所では、対象者への研究計画書の説明、同意が得られ、数名の対象者からのデータ収集の途中である。
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今後の研究の推進方策 |
測定機材が2機しかないことから、1度に2名のデータしか収集できない状況であるが、次年度は、得られたデータの分析から、経耳道的光照射による通常の夜勤時との概日リズムの違いの確認を実施する予定である。その後、生活行動調査の結果と共に、睡眠衛生教育の内容を検討し、実施していく予定である。 ただし、調査期間については、睡眠が季節の影響(暑い夏場は、環境調整が難しいことで睡眠がとれないなど)を受けやすいこと、各事業所における部署異動時期等、睡眠に影響する環境や要因が予測されることから、それらを配慮して、夏季の7~8月および各事業所の研究協力者と検討して調査実施が不適切と考えられる期間を除外し、継続的に実施していく予定である。 この方法を続けながら、学会や検討会などで発表しアドバイスなどを受けながら、内容の充実を図るべく、検討を深めていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症によって調査開始の時期の調整が必要となったこと、および、対象者との接触を減らすために諸々の手続きが必要になったことで調査開始時期が遅れ、研究対象者への謝金が発生しなかった。また、学会参加を控えたため旅費が発生しなかった。 残額については、令和4年度に謝金、調査継続のための消耗品購入などで支出する予定である。
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