2023年度は、育児休業取得前までに進めていた、組織市民行動の尺度案の作成及び妥当性検討を行う予定としていた。中断中に新規に発表されている文献を新たに収集し、組織市民行動の概念と構成要素および、これらに関連する組織的要因に関して検討を進めた。経営学領域において研究されているサービス志向型、または顧客志向型の組織市民行動に関する研究成果から、個人と組織の適合関係が影響を及ぼす可能性が示唆されており、これらの要因についても調査計画で検討する必要があることが明らかになった。 また、組織市民行動の行動指標について、看護管理学の専門家による妥当性検討を行った。職場への参加や同僚支援、自己研鑽など、職場内での立場によっては自然と発揮される行動や、プロアクティブ行動、専門職意識などの既存の尺度・概念と重複する内容が含まれていることが課題として明らかになった。組織市民行動として含める行動の範囲をより明確にする必要があることがわかったため、他の類似した概念との比較検討により尺度案の見直しを進めている段階である。修正後、再度確認を行い、調査の実施へと進める予定である。
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